夏の夜は君と 2

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「本当にごめん！！！俺からドライブ誘った癖に……」



クッションの上で正座をしている紫耀と、体育座りをしているあたし。

さっきまで美咲さんとキスをしていた紫耀が今あたしと向かい合って謝ってる。

時の流れって怖いものだ。






「すぐ戻るつもりやった。でも長引いてしまって…」

「………どこ行ってたの？」

「美咲さんのとこ。風磨くん荒れとってさ…俺が出るとこちゃうけど、やっぱほっとけなくて」

「荒れてる…？」

「あーうん。あんま人前で話すことやないけど、風磨くん仕事嫌やねんて。長男だから仕方なく料理やってるけど上手くいかんらしくてさ。そんでたまに美咲さんに当たっちゃうんよね…」

「そうだったんだ……」




知らなかった。

だからあの時美咲さん泣いてたんだ。


きっと、それを助けたのが紫耀。




「俺ならもっと幸せにしてやれんのにって言ってキスしたら殴られた！泣いてんのにやで？それで美咲さんは風磨くんしか見えてないんやなーってやっと諦めついたっていうか。それでも風磨くんが好きなんやて！」



ははは、と感情のない空っぽの笑顔をあたしに向けた。

それは昨日までの夏海と少し重なって見えた。



紫耀はあたしが気になっていたことを全部話してくれた。

それがあたしに気がないからだと分かっていても、何でも話せる仲になっていた事が凄く嬉しかった。





「平野紫耀くん、二度目の失恋です。しかも同じ人」



そう言いながら正座を崩した紫耀はあたしと同じように体育座りをして、膝に顔を埋めた。

そのあとすぐに顔を上げてあたしをじっと見つめる。




「なんやろ、失恋したけど気持ち軽いんよね。分かりきってたからなんかな。いやAちゃんが居てくれるからかもしれんわ」



思いもよらない紫耀の言葉にドキっとして

鼓動がどんどん早くなった。



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