夏の夜は君と 2

093 ページ43

.




優太に女扱いされたことないなんて嘘だ。

いつだって優太はあたしを大事にしてくれていた。



ちょっと大袈裟だけど、

たまに遠回りもするけど、



あたしが一人のときいつも隣にいてくれたのは優太だ。





あたしが今まで見てきた優太は、夏海の好きな人でしかなかった。

最初から岸優太として彼を見ていたら何か変わってたのかな。









「顕嵐達、歩いて帰るってよ」




そう言って優太は携帯の画面をあたしに見せる。

紫耀にも言ってあると、そこには書いてあった。





夏海にちゃんと話さなくちゃ。

もう隠す事なんて何もない。





「お腹空いて倒れる」

「フリス…「フリスクならいらない」

「はい、さーせん。どっか寄る？」

「コンビニ」









向かったのは前に紫耀ときたコンビニ。

入るなり花火を見つけて嬉しそうにしていた紫耀を思い出した。





「涼しーー！アイスアイス！」

「あたし本当にお腹空いてるからおにぎりにしよ」

「A！杏仁豆腐のアイスだって！美味そう！」





” 冷蔵庫に杏仁豆腐入ってるけど食べる？ ”


今朝の話が遠い昔のように感じた。

あの時杏仁豆腐を食べていれば今こんなに空腹に悩まされる事はなかったのに。





「……食べればよかったな」

「何を！？サンデー！？確かに勿体無かった！」

「杏仁豆腐のアイス買う」

「おにぎりもアイスも買うのかよ！デブだなー」

「うるっさいな…」





カゴにアイスをいくつか入れて会計を済まし、
溶けないようにと急ぎ足で帰った。



.

094→←092

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す