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「しょ、う………なんで…」
「ん?雨降りなのに傘持たんで出て行くの見えたから。髪の毛濡れてぺちゃんこなってるやん」
眉毛を下げて、困ったように笑った。
「紫耀も濡れちゃう」
「俺はアホやから大丈夫!」
「ちょっと意味が分からない…ほら、濡れてる」
「じゃーもっとこっちきて」
「っ!」
腰に手を回して、ぐっとあたしを引き寄せる。
これもまた、紫耀は何の気なしにやってるだろう。
きっと誰にでもこうする。
分かっているのにドキドキしてしまう自分が悔しい。
「さっき泣いてたやろ?なんでこんなとこで一人で泣いてん」
頭の上から、紫耀の優しい声がする。
なんて心地いいんだろう。
「泣いてないです」
「嘘をつきなさい。ちょちょちょ、下向かんといて」
「な…んで……」
「ほらこれは涙の跡や!」
「雨、だよ………」
紫耀の手があたしの頬に触れて、涙の跡をなぞる。
恥ずかしくてたまらないのに、至近距離で見る紫耀の綺麗な目から目が離せない。
雨の音と、波の音だけが聞こえてくる。
「…………ごめんな、岸くんじゃなくて」
「……え?」
あたしより先に目をそらした紫耀は頬から手を離し呟いた。
「最初岸くんかと思ったやろ?本当は岸くんが迎えに行った方がええと思ったんやけどおらんくてさ」
「いやっ、あれは」
「でも今日は俺がAちゃんのこと先に見つけた」
ふわっと優しく笑った紫耀を見たら、涙が出てきた。
どうしてこんなにあたしのこと好きにさせるんだろう。
紫耀は一体何人の女の子をこうして泣かせてきたのだろう。
美咲さんには勝てなくても、その中の特別にあたしは入りますか?
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shi_chikin6(プロフ) - この作品ほんと大好きです!ハラハラドキドキ!更新楽しみに待ってまーす♪ (2016年10月2日 0時) (レス) id: ea69c224ce (このIDを非表示/違反報告)
ANN - 忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください!!大好きです(笑) (2016年9月27日 16時) (レス) id: e7aa92ac41 (このIDを非表示/違反報告)
だぁりか(プロフ) - いつもこの作品楽しみにして見てます!岸くん優しすぎてもうやばいです(*_*)次の更新楽しみにしてます(*^_^*) (2016年9月25日 22時) (レス) id: 1c45e95ee3 (このIDを非表示/違反報告)
花 - 面白すぎておもわずコメントしてしまいました、平野担です!でもまさか、岸くんの「好きだよ、ここから連れ出したいくらい」(間違えてたらごめんね)にやられました。続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2016年9月25日 19時) (レス) id: 63b2e22316 (このIDを非表示/違反報告)
ANN - 岸くんみたいな人がいたら…(泣)他作品も切なくてminiさんの作品大好きです。更新できる限りでいいので。応援してます! (2016年9月24日 12時) (レス) id: e7aa92ac41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2016年8月11日 0時