恋に落ちるこの瞬間 ２ 【Y.K】

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「白井ちゃん！待って！」


なんで追いかけてくるの！今追い掛けてこられてもわたし話す事なんて何もないよ。

今何か言われたらきっと綺麗事を並べてしまう。


でも運動ができないわたしはあっという間に岸くんに捕まってしまった。



『岸くん、びしょびしょだよ？』


傘を差し出し、2人で傘の中に入るとその近さに胸が高鳴った。


「白井ちゃん、俺…」

『言わないで。わたし我慢するから』


そう、わたしが我慢すれば岸くんわたしの元にいてくれるでしょ？


『わたし気付いてない！何も見てない！』

「そんなことできない！俺最低だけど、本当に最低だけど、白井ちゃんのこと大切に思ってたのは本当だから」


今さらそんなこと言わないで。

大切に思ってくれてたのちゃんと伝わってたよ。



『岸くんは最低なんかじゃない。最低なのはわたし。岸くんがわたしのこと好きじゃないことなんてとっくに気付いてたよ！付き合わせちゃってごめんね』

「違う、白井ちゃんは悪くない、ごめん…」


やめてよ岸くん。そんな顔しないで。

わたしはあなたの笑顔が大好きなんだから。


『はぁ！！だめだねわたし達！2人とも最低だったんだよ！！岸くん嘘はつけないから！』

「でも俺、白井ちゃんのこと好きだったよ」



たった3週間。

わたしの初めての彼氏。

好きだと言ってくれたのは最初で最後のたった一度だけだったけれど

もし大人になって初恋の話をするならあなたのことを話すね。


綺麗な手、人を巻き込んで笑う素敵な笑顔。

嘘がつけない優しい優しい岸優太くん。


『欲を言うならもう少しだけ恋人ごっこしたかったな？』


精一杯の強がりを残してかっこよく去る。

もうあなたに涙は見せない。


大好きだったよ、全部。




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