恋に落ちるこの瞬間 ２ 【Y.K】

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『優太だ』

「なんだって？」

『………………50点、とったって…』


どうでもいい、今なんて特にどうでもいいのに。


岸優太これで一緒に帰れるな!!


この一文にこんなにも嬉しくなるなんて。


と、同時にまた思い出す手を繋ぐ2人。

あんなにも幸せそうだったのにわたしが邪魔をしてしまうんだ。


『じんくん、明日も一緒に帰ってくれる？』

「当たり前だろ？」

『うん、じゃあ今日はもう帰るね』

「送るよ」


無言で頷いて立ち上がり、家を出た。


『じんくーん』

「なんだよー」

『手繋ごーー？』


一瞬びっくりした顔をしたけど、ん。と手を差し出してくれた。

その手をぎゅっと握ってわたしは最低なことを思っている。


『じんくん、謝っておくね』

「何をだよ」

『この手が優太だったらいいのにって思ってる』

「おお、きついこというな」


切なそうに笑うじんくんの優しさが身に沁みた。

ごめんねじんくん。


「優太じゃなくて勇太でごめんな」

『何言ってるかわからない』

「俺の下の名前を忘れるな！」

『ああーじんくん勇太っていうんだー勇太勇太ーー』

「AAーー！俺はじんくん呼びが好きだからいいんだよ」

『じーんくん』

「はーあい」


側からみたらバカップルだ。

でも通りすぎる人達は何も知らない。


わたしたちがどれだけ切ない気持ちでこの手を繋ぎ、歩いていることを。

じんくんとわたし以外、誰も知らない。



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