ワケあり生徒会！ー吉良優斗ver.ー

呟き　ー奏sideー ページ16

「くっそカナも何笑ってんだよこの女黙らせろ」

「綾くんが先に喧嘩打ってきたんでしょ！」

今日も平和だなぁ、なんて思いながら窓を見ると飛行機雲が綺麗に線を描いていて。

窓に近づくと一生懸命袋を持ちながら走ってくる二人と姿が見えた。

「お二人さん帰ってきたよ〜」

「あ、ほんとだ！」

窓に駆け寄る結花。

「奏、Aの顔見て。」

「へぇ〜、珍しいねぇ」

男の前であんなに笑っているAちゃんを見るのは初めてで。

今じゃ俺らの前でも普通に笑ってくれるが、最初の頃は作り笑いしかしなかったのに。

「でしょ？ずーっとAのこと見てきたからね。まあ本人はなーんにも自覚無いだろうけど」

なんていいながら結花もどこか嬉しそうで。

2人が見えなくなっても消えていく飛行機雲を眺める。

「上手く行くといいな〜」

無理だろうけど、なんて言葉は言えなかったけど。

Aちゃんにも幸せになってほしいのは確かだ。

彼女はいい子だ。

生徒会のメンバーも気に入ってるからことあるごとに呼んでいる。

それでもやっぱり、今回ばかりは

「相手が悪かった、な、」

なんて俺のつぶやきは勢い良くドアを開けて入ってきた優斗の「ただいまー！」という声にかき消された。

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