シークレットラブ【Mizuki.I】 (ページ9)

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◇9 Mizuki ページ9

なんで。なんで俺はこんなことしか言えないのか、自分でも分からない。

あの時はごめんな、ありがとう
って素直に言えばいいのに、バカなの？しか言えない。

家も近づいてきたし鍵を取り出そうと思って

リュックのサイドポケットに傘を持ってない方の手を入れるけどいつも手に当たるはずの感覚がない。

瑞稀「やっべ、」

「どうしたの？」

瑞稀「鍵忘れた」

「は！？バカなのはそっちじゃん！」

瑞稀「ですね～…」

親はどっちも仕事でいない。
家には今誰もいないからか家には入れない。

「うち来て」

瑞稀「マジで？」

「家には入れない幼馴染をほっとけるわけないでしょ？ていうかよく家行き来してるじゃん」

『幼馴染』をほっとけるわけない
Aは今そう言った。
そうだ、俺はこいつの本当の彼氏じゃない。

わかってる事なのに無性に悔しくなる。

「ほら入って」

Aは家の鍵を開けて俺を玄関に入れた。
Aが玄関の外で折りたたみ傘を降って水を落としてる音がドア越しに聞こえてくる。

「わ、びっくりした、まだそこいたの？靴脱ぎなよ。タオルいる？」

Aは折りたたみ傘を持ったまま玄関を開けて玄関の壁に折りたたみ傘を立てかけた。

瑞稀「いらない」

幸い傘を貸してくれたAの友達のおかげでそんなに濡れてない。