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よく少女漫画とかでこういうシーンがあると
ヒロインは駆け出す。
でも私は駆け出せない。
「Aちゃん、ほんっとにちが、」
私はその場にペタン、と座り込む。
地べたが、冷たい。
「俺はこの子のこと抱きしめてなんてないし、勝手にこの子が抱きついてきただけで、」
「…え?」
「やだ岸さん必死ー!」
優太くんが一生懸命説明してる後ろで薫ちゃんはケラケラ笑ってる。
「…何がそんなに面白いの」
「…Aちゃん?」
「そーやって人の男ばっか取ってなにが楽しいの?なんでそーやってケラケラ笑えるの?」
もう限界だった。
優太くんのことは信じる。
でも。
好き勝手やってる薫ちゃんを見るのが辛かった。
「犯罪にならなかったらいいと思ってんの?1組の優奈ちゃんの彼氏だって3組の咲良ちゃんの彼氏だって心先輩の彼氏だってバ先の女の子の彼氏だって奪って、」
なにがそんなに楽しいの、
その言葉は、
泣いて言えなかった。
その代わり薫ちゃんは少し傷ついた顔をした。
「Aちゃん」
優太くんはそっと私の手を握る。
なんで私泣いたんだろう。
別に何度も何度も薫ちゃんに彼氏取られたわけじゃないのに。
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作者名:ski | 作成日時:2018年10月27日 15時