ヒーローは、アナタ。2【K.Y】 (ページ3)

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初恋は実らへん。
ようそう言う。
やけど、初恋の人と結婚する人かてなかにはいる。

せやけどそないなのはひと握りのひと握りや思う。俺の場合Aが初恋でそれからずっと。
俺はこれからも彼女がでけへんかも知れへん。Aの事を好きちゃうくなるなんて
考えられん。

「永瀬！」

「…真矢か」

「Aじゃなくて悪かったね～」

「べっつに…そんなん思ってへんし」

「嘘くさいからやめなそれ」

今日1日リュックの中に入っとった新聞1枚が無うなっただけでリュックが一気に軽なった気がする。軽なった言うよりは、寂しなった。

「真矢、帰る方向こっちやっけ？」

「そこの角まで一緒。あんた本当にAしか興味ないんだねー。ねえ、駅前のマック寄らない？」

「なんで？」

「奢るから。失恋祝い？」

「傷口えぐらんといて」

「ね？行こ？」

「しゃあない、奢ってくれるなら行くか」

真矢はどこまで知っとるんやろう。
Aと岸さんのこと。

Aの事を下の名前で呼ぶ男子、
あいつの家族以外に俺と紫耀しかいんかったのに。

Aと岸さんが出会ったあの日、
俺はあいつを誘えばよかった。

そう後悔してももちろん遅い。

正直しんどい。