月曜日21時のヒロインⅡ【R.S】 (ページ16)

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藤原side

ずっとずっと綾瀬Aに憧れていた。

私生活がミステリアスで、
孤高の天才と書かれていたこともある女優さん。

俺がデビューする前に見た、
当時中学生の彼女の出演するCMは
中学生の俺には衝撃だった。

一目惚れ、だったのかもしれない。

透明感、という言葉がぴったりで
とにかく、とにかく可愛くて。

テレビ越しの彼女に触れたいと思った。

彼女が出演する番組は必ず見て、
いつか、会えたら、なんて幻想を抱く。

高校生になり、有り難いことに
周りからイケメンだねと声をかけられることも
多かった俺は、周りの勧めもあり
とあるコンテストに応募した。

特に何も秀でた特技もない俺が、
グランプリを取って芸能界に入ったのは
奇跡に等しかった。

大手事務所に所属することができ、
俳優としてドラマに出演し、
役が世間にウケてワンコ系なんて言われるようになり。

そして、あるドラマの出演が決定した。

配られた台本に載っている
キャスト一覧を見たとき、鳥肌が立った。

『春木光役・・・綾瀬A』

俺の人生は、この日のためにあったのかも。
なんて、大袈裟かもしれないけど
本当にそう思ったんだ。

撮影が始まり、初めて声をかけたときは
本当に緊張して、逆に饒舌になったり、

連絡先を交換出来てメッセージを送るとき、
毎回ドキドキして何回も既読になったか
チェックして。

電話をかけたときは、ボタンを押す指が震えた。

初めてご飯に行ったときは
普段だったら酔わないような量のお酒で
酔っ払ってしまって。

でも、ずっとずっと好きだったから。
ずっと見ていたから。

すぐに気付いてしまった。
気付きたく、なかった。

やっと、話せた、
やっと、仲良くなれたと思ったのに

Aちゃんが誰を目で追ってるか、
なんて気付きたくなかったよ。

それでも、いつか、なんて
もがいてみたけど

Aちゃんが俺を見る目はあの子を見る目と違う。

そして、恐れてたことが起きてしまうんだ。