【ハイキュー】酔 わ せ て 【短編集】

コザック - 白布賢二郎 ページ8

※白布目線になってます
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なんで俺がこの人の介抱なんか。


そう思いながらも、頰を紅潮させたこの人を見て色々とそそられるのは、きっと男の性なんだろう。

「…ふふ……けんじろ、かわいい」
「…からかわないでください」

(…俺の気持ちも知らずに、この人は)


目の前にいるのは、高校の時から親交のあるAさん。

なんでこの人とバーで二人きりになったのか、その経緯は省略するとして＿＿

『そんなんだから、いつまでも一人前になれないんだよ』
『え…賢二郎、私と大学同じなの？やだぁ』

(……駄目だ、思い出したら腹立ってきた)


Aさんには、高校の時からずっと憎まれ口を叩かれ続けてきた。

あれこれ俺の短所を見つけては突っかかってくる嫌な女＿＿
そんなこの人と、俺は決して仲が良いわけではない。




(単に、俺が片思いしてるだけで)



「けんじろーのくせに生意気……ていうかなんでいるの？帰れよなぁ」
「帰ってもいいですけど、アンタそんなんでどうやって帰るつもりですか？終電も終わってるんですけど」

(…つーか、わざわざ一緒に残ってやってる時点でそういうことだって気づけよな)

なんて、変なとこで疎いこの人にそんなのを求めても仕方ないだろうけど。


「…ねえ、けんじろー？」
「はい？」

「けんじろー、最近カッコよくなった？」


心臓が、何かに縛られたようにキュッと音を立てた。

かっこよくなったと言われたという部分より、まさかこの人が、というほうの驚きが強いように思う。


「……Aさ、」
「あ、元からかぁ」
「Aさん」


そう言うくらいなら真意が聞きたい。

俺を本当はどう思ってるのか、


それが知りたい。







(＿＿＿なのに、)


「だぁめ」



頰に触れようと伸ばした手を、Aさんにたやすく阻止されてしまう。



「っなんで、」

「お酒の勢いでそういうことするのはいい男じゃないよ。


言ったでしょ？それだからいつまでも一人前になれないの」




Aさんは、そう言って手元のコザックを飲み干す。






あぁ、だめだ



(今日もこの人に敵わなかった)




コザック
カクテル言葉【強敵】
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余裕ないケンジローが書きたかった。ちゅき

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