【ハイキュー】酔 わ せ て 【短編集】

カーディナル - 月島蛍 ページ14

「…ねぇ、蛍、私のどこが悪かったと思う？」
「少なくとも別れたことをずるずる引きずって無関係の男に愚痴ってるとこはどうかと思いますケド」



大好きだった彼氏に突然フラれた。

理由はなにも告げられなくて、ただ「もうやめよ」の一言だけ。

「…それだけ蛍を信頼してるってことなのに」
「信頼してる男をこんな時間まで引き止めるのはどうなわけ？」

この傷を癒してくれる人なんかいないし、女友達にはなんとなく言いづらくて…結局一番気の置けない、高校からの友人である蛍を呼び出すことにした。


『蛍、明日の夜って予定ある？ちょっと色々思いつめちゃってて、暇だったら話聞いてほしいの』

…という私の長文に対しての返信は、

『ないけど』


「…それだから彼女できないんだよ、蛍」
「ご親切にどうも」

口調はこうだけど、なんだかんだで私の話をまじめに聞いてくれる。

(…素直じゃないんだから)
なんて思いながら、目の前のお酒に口をつける。

「…ていうかね、」

…と、話の続きをしようとした時。


(……ん？…あれ、翔陽？)

タイミングよく、私の携帯が鳴った。
見てみると、同じく高校からの友達＿翔陽からメッセージと画像が届いていて。

(なんだろう…)

確認してみると、そこには＿＿



「……え」

(……これって)


「…？何？」
「あ、な、なんでもない」

思わず蛍から携帯を隠す。
そこに書かれていたのは…

『元烏野のメンバーと飯食ってる！』

…というメッセージと、翔陽たちが一年生の時の烏野のメンバーの人たちの写真。

(…待って、ていうことは)

『蛍は？』

私のそのメッセージに対して、返信はすぐに帰ってきて…


『なんか用事があるとかで、昨日ドタキャンされた！なんの用事かは聞いてないけど！』




(……なんだ)
…そういうこと



「……？…ちょっと、なに？気持ち悪いからジロジロ見ないでくんない？」

煙たがる態度には構わず、蛍を見上げる。


「蛍、ごめんね。ありがとね」
「はぁ？何、いきなり…」


(だって烏野の人とご飯の予定あったのに、わざわざ私のところに来てくれたんでしょ)


それを言うと怒られると思うから言わない。
" 私が悩んでいたから " の、それ以外に理由があるとも思ってない。

でも



「……やっぱり優しいよね、蛍」
「…なんなの、ホント鳥肌立つんだけど」



それ以外の理由があったらいいな、なんて言ったら

たぶんもっと怒るだろうな。



カーディナル
カクテル言葉【優しい嘘】

アメリカーノ* - 照島遊児→←ニコラシカ - 北信介

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