へろーまいえんじぇる【2j3j】

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剣持少年が

首元を露にしている

吸血鬼の本能でそれは本当に甘美で魅力的なものに見える

瞳孔が開いて、手はわなわなと震えている

ヨダレが出るのを必死に我慢してゴクリとひとつ喉を鳴らす


「はっ…は…」


息切れが止まらない

剣持少年が立ち上がり、ソファを乗り越えて正面に立つ


いつも私がピンヒールを履いていたせいか、剣持少年の身長が私より高くなり、ちょうど首筋の辺りが目の前に来る


「ん、早くしてください」


剣持少年の頬が羞恥で赤く染まりつつある

それですら美しく、魅力的な芸術作品のようだった


「……ッヴァ…」


我慢したい

人を傷つけてまで生きたいなんて願わないから

自らそれを望まないでくれ


「…僕の服掴んでください

とりあえず落ち着いて」


少年の肩の付近に口元を沈め、荒い息を整える

フー、フー、と呼吸をする度に拳が震える

甘い匂いが鼻腔を擽り、瞳が湿る


「落ち着きましたか？」


首を横に振る

ポンポンと一定速度で撫でられる手が心地よい

正面から温もりを感じた

人間はすごく暖かいらしい


「そうですか

じゃ、早く吸ってください」


「……なに少年、吸われたいのか？」


「あなたがあんまりに苦しそうなので

できることなら早く吸って欲しいですかね」


何故そこまでする

なんでお前の敵なのにそんなに優しい目で見る



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