【tkrv】自分の美の価値観が世の中と全然違う件

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時は流れて4月。

私はと言うと、九井さんに勧誘された会社に無事就職し(面接は結局なかった)、早速仕事を教えてもらってる最中である。
ちなみに、リクルートスーツでは無くオフィスカジュアル系の服着てる。九井さんも結構自由な服着てるし、私服でいいと言われたので社会人としての威厳は保ちつつのオフィスカジュアルファッションで落ち着いた。閑話休題。

教えられた仕事は、これから複雑になっていくのかもしれないが、九井さんが言った通り簡単な作業ばかりである。資料をもとに表計算作ったり、グラフ作ったり、印刷した資料をジャンルごとにまとめたり。WordもExcelも大学でよく使っていたので、裏技的なのを求められなければ普通に使えるし、今は機能わかんなくてもネットで聞けばいくらでもアンサーあるしね。
正直にいうと、コンビニのバイトより楽。しかも初任給は胃痙攣起こすほど高かった。地方の新入社員の平均初任給の倍はある。都会すげえ。都会っていうか、この会社がすげえ。給与もいい上こんなに簡単な業務かつ丁寧に教えてくれる上司がいるのに、やめてく社員ってバカなの？美醜に囚われすぎてて人生棒に振ってるのヤバすぎん？お陰で私働けてるから、そこは感謝だしウハウハで笑いも止まんないけど。

「あ、九井さん。渡された資料の表計算とグラフ作成全部終わったので、ご確認お願いします」
「ああ、…ってもうか！？」
「え、ハイ。えっ…な、なんかマズかったですか…！？」
「あいや、入社してまだ全然経ってねえのにはえーなと思って。…前にいた奴ら、他の会社から引き抜いて中途でここに入ってきた奴ばっかだったんだけど、ちょくちょくオフィス抜けての休憩、とかトイレ行く回数とかマア多くて。スピードはAさんとどっこいどっこいだけど、ミスも多いしそんな感じだからこの量をこの時間に終わらせられるやつ居なくてさ。有能だな、助かるよ」
「もー、煽ててもあったかい飲み物しか出せませんよ私。それに仕事早く終わらせられたのは、九井さんの教え方上手いからですし。私、結構要領悪い方なんで」

他の人に教えられてたらここまで早くできなかったと思いますよ！とヒラヒラと手を振って褒められた気恥ずかしさを誤魔化す。
私が有能なのではない。恐らく前の奴らが美醜に囚われすぎて「醜男(しかしイケメン)だから何したっていい」精神が働いて、話聞いてなかったりサボってたりしてたんだろうなって。よく出来るもんだね、目上の人にそんなこと。

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