【tkrv】自分の美の価値観が世の中と全然違う件

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「お客様に覚えていただくことは店員としても大変喜ばしいことなのですが、話しかけられる回数がいかんせん多く、時折業務が滞ることもあります。業務中に連絡先を渡されたりプライベートで会う約束を持ちかけられるのも、とても困ります。しかもお客様、私と喋るだけ喋った後は、いつも何も買わずに帰って行かれますよね？申し訳ありませんが、業務に支障をきたすレベルの声掛けや無購入での退店は、店としても利益あっての運営ですので、迷惑行為に分類されるかと。ですので今回のことは、店の責任者にも相談させていただきたいと思います。ご了承ください」
「な…」

表情筋と息継ぎほぼ無しで行ったから苦しいわ。フウ、と一息吐いた後、ニッコリ笑って「ではお待たせしましたお客様、お伺いいたします！」と九井さんにニッコリ。

だって足元にドリンク入ったカゴあるしね。こっちが「お客様」に決まってんじゃんね。九井さんは猫みたいに瞳孔大きくして困惑していた。

しかし豚が退かない。ずっとワナワナしながら立ち止まっている。邪魔だな、と思って私はまたそいつの方へと向いて、注意をした。

「な、な…！」
「あ、すみません、お決まりのお客様の邪魔になりますので、少々ズレていただいてもよろしいですか？」

ワナワナしてる豚にそう言うと豚は怒りが爆発したのか、捨て台詞のように「ハン！穴が使えりゃ誰でもよかったんだよ。ブスだけど抱いてやろうと思ったのに調子に乗ってんじゃねーよ」とか言って、棚を蹴っ飛ばして自動ドアへと向かっていった。ウワーカメラあんのによくあんなことできんな。顔も頭も悪いとか救いようがないよ…。

あーあ商品もブチ撒けてら。誰が片付けると思ってんだよ…とイラッと来たところで、目の前の人物が光の速さで豚へと向かっていった。

…九井さんである。

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