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「石像に傷を付けただけでは飽き足らずシャンデリアまで破壊するなんて！もう許せません。全員、即刻退学です！」
「「「ええええええ〜〜〜〜っ！！？？」」」
学園長の言葉に私たちは一斉に声を上げた。たしかに入学初日からこんな騒動を起こしたのだから、ただで済むわけじゃないけど。
「そんな！どうかそれだけはお許しください！俺はこの学校でやらなきゃいけないことがあるんです！」
「馬鹿な真似をした自分を恨むんですね」
「許していただけるなら弁償でも何でもします！」
「このシャンデリアはただのシャンデリアではありません。魔法を動力源とし永遠に尽きない蝋燭に炎の魔法が灯る魔法のシャンデリア。伝説の魔法道具マイスターに作らせた逸品です。
学園建設当時からずっと大切に受け継がれてきたというのに……歴史的価値を考えれば10億マドルは下らない品物ですよ。それを弁償出来るとでも？」
「じゅ、10億マドル……！？」
マドル……この世界で言うお金の事なのかな。1円＝1マドルとしても10億……あれ、でも圧倒的円高じゃない？？？
だけど、どっちにしろ10億だなんて、宝くじでも当てない限り一生働いても返せない額だ。
「で、でもさ。先生の魔法でパパッと直せちゃったりとか……」
「魔法は万能ではありません。しかも、魔法道具の心臓とも呼べる魔法石が割れてしまった。魔法石に2つと同じものはない。もう二度とこのシャンデリアは永遠に光が灯ることはないでしょう」
「そんなぁ……」
「ちくしょう………なにやってんだ俺は……母さんになんて言えば……」
粉々になったシャンデリア囲み、二人は落ち込む。
私は冷静に考えた。元々こうなったのは、グリムを追うため、その理由がグリムが掃除をサボろうとし、それに火をつけたのがエースがサボろうとしたから。そしてハートの女王の石像に傷をつけたのが、初めの導火線。
あの時の喧嘩を、私が止められてさえいれば＿＿＿。
「………あの、学園長」
「はい？」
「彼らを許してあげてください。責任は、私が負います」
拳をギュッと握りながら、ハッキリとそう言った。
もちろん、エース、デュース、それに学園長も驚いた顔でいた。
「元々こうなったのは、私がグリムのことをちゃんと見てなくて、エースとの喧嘩を止められなかったからです。彼の監督を任されたのに、その責務を全う出来なかった」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2022年5月11日 22時
