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グリムを談話室に置いていき、一人でバケツを探す私。夜になってきたこともあり、真っ暗で全然見えない。
懐中電灯か何か持ってくればよかったとため息をついた時、視界の端を何か白いものが通り過ぎた。
「何!?」
振り返ると、そこにいたのは細いのやら、ぽっちゃりやらの体型をした三体の白い幽霊……………幽霊!?
「おば、おばばばば…!」
「ひひひひ………イッヒヒヒヒ…………」
「ひさしぶりのお客様だあ〜……」
「腕が鳴るぜぇ〜」
「「「イーッヒッヒッヒ!」」」
「いやぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
一斉に笑い出す幽霊達。私も甲高い声で悲鳴をあげた。
「何を大騒ぎしてん………ギャーーーーー!!!おおお……お化けえええええ!!!」
叫びを聞いたグリムも談話室から出てきて、私と同じように大きな叫び声を上げた。
「ここに住んでた奴らは俺たちを怖がってみーんな出ていっちまった」
「俺たちずっと新しいゴースト仲間を探してたんだ。お前さん、どうだい?」
「こっち来ないでー!悪霊退散!」
「うううっ、ううーーっ!大魔法士グリム様はお化けなんか怖くないんだゾ!!」
直後、グリムは口から青い炎を吐きだした。しかし炎は当たらず、ゴーストたちは余裕の態度でヒラリとかわす。
そんなに当たらないものかと、閉じていた目を開くと、グリムのある動作が目についた。
「グリム!炎を出す時、目を閉じてるから当たらないんだよ!」
「うるせーっ!オレ様に指図するんじゃねーんだゾ!」
「今そんなこと言ってる場合じゃ…!」
「お嬢さん、綺麗な顔してるね。俺とダンスでもどうだい?」
「無理無理無理ー!南無阿弥陀仏!!!」
私もグリムも混乱状態。だけど、このままじゃ拉致はあかないし、せっかく学園長が貸してくれた寮も火事になるかもしれない。
私は真っ白な脳内を消し去り、グリムにあることを提案した。
「グリム!このゴーストたちを追い払えば学園長を見返せるかもよ!」
「なぬっ…………!?ぐぬぬ、オ、オレ様は天才なんだゾ。こんなヤツら1人でも……」
次の瞬間、グリムの周りにゴーストは一斉に二体も現れ、グリムは「オマエらたくさんいて卑怯だゾ〜!」と叫んだ。
「天才だからって、何でも1人でできる訳じゃない!誰かの力を借りないといけない時もあるの!私もゴースト怖いから協力する! 3対2ならなんとかなるかもよ!」
私はグリムにそう訴えた。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年5月11日 22時