日射し避け ページ43
「煉獄さん」
「よもや……」
「いやうむじゃなくて…煉獄さん、これは…?」
「…なるほど!」
空を見たら太陽を直視することになるので正しくは分からないが、昼過ぎ頃のこと。
私はいつのまにか煉獄邸に来ていた隠の人に、何やら割と重い真っ黒な布を受け取った。
部屋の中で広げてみると、長い丈と袖とフードが付いたローブのようで……
使用用途が分からずに煉獄さんに問い掛けるも、「よもや」「なるほど!」と本人しか分からない返答で完結された。
えぇえ話通じないんだけどこの人?なんで??
そう思いながら、仕方なくこれを届けてくれた張本人である隠の人へ目を向けて、もう一度「これは?」と聞く。
すると、よく見たら後藤さんらしき隠が口を開いて、
「それはお館様から承った、日光を遮断する衣服です。桜子様は日中、これを身に着けて行動するようにと……」
「日差しよけ!?」
この時代にそんなもの作れるなんて鬼殺隊の技術凄えぇぇぇ!!
内心ギョッとしながら言った私に、煉獄さんが「これでどう行動するかの問題は解決したな!」とドヤ顔で言う。
「ではこれで…」
「うむ、ご苦労!では俺達も行こう!それを着るんだ!」
「えっもう、じゃなくて…はい」
軽い布団を頭から被るような感覚に、これで本当に日の光の元を歩けるのかな……と半信半疑で玄関へ向かう。
……これ、もし私が焼け死んだら、とりあえず煉獄さんと後藤さんとお館様のことを恨もう。
密かにそう思いながら、玄関で靴を履き替えて、一瞬戸惑ってから「えいや」と外へ出た。
「!………眩しくない…」
思ってた以上に、服の遮断性が強かった。足首と指まですっぽりと覆い隠す大きなこの黒い服……現代だったら大ヒットかもしれない。
「俺は父上に挨拶してくるから……先に外で待っていてくれ」
「あ、はい」
庭の方へ指を指した煉獄さんに頷いて、私はおずおずと屋敷の敷居を跨いで、外の門の横に立った。
…………あれか、「行ってまいります、父上」か。
煉獄パパのトラウマになるだろう挨拶をしに行ったのかな……そういえば私千寿郎君に合ってないな。
朝起きて煉獄さんがどこの部屋にいるのか分からず彷徨いて時に、煉獄パパと遭遇して、案内までしてもらった時は驚いたけど。
「お前は…」と何か含みのありそうな呟きの後に「何してんだアイツは」と凄まれた時はビビったけど。
「______猗窩座……お前には殺らせないからな…」
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楓音(プロフ) - 作品とても楽しく読ませて頂いています!初の登場時からずっと気になっていたのですが、「炭治郎」を「炭次郎」と書き間違えていたのが気になってご報告させて頂きました💦ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません💦 (2022年3月22日 18時) (レス) @page6 id: 5a612b3e43 (このIDを非表示/違反報告)
むい推しの人 - 初コメです〜。一つ気になったことがありまして…。「連れていく」で登場した夢主ちゃんの服のことです。膝上の短い袴ってどんなやつですか?変に細かいところ気になってしまいました…すみません。長文コメ失礼しました! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 00103e9837 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 初コメ失礼します。無惨の名を言うと殺されるという呪いは発動しないのですか?無惨に限って例外はないような気がするので。今後の展開が気になります!更新頑張ってください! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 14ページ目、悲鳴島ではなく悲鳴嶼だと思います.......物語は面白いので、更新頑張ってください! (2019年8月30日 2時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - オチを宇髄さんに一票! (2019年8月27日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年8月22日 20時