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在りし時の ページ28

____私と“彼”との出会いは、初めは昼間の林の中だった




「こんにちは、初めまして…かな?」

「え?」




まだ幼い顔と体だったけれど、整った外見と年のわりにはしっかりした肉付をしていた彼は、突然現れた私を呆然と見つめていた。


「それは仕事?木を切って、どうするの?」

「え…あ、う、売るんだよ、薪とかにして…」


背中に背負った大量の木を、彼は疲れもせず涼しい顔で担いでいる。


木こり……多分それが、当時の彼の職だったのだろう。


木々の生い茂る人里離れた林の中で、“双子の兄”とひっそりと暮らしているハズの、彼。


「最近…君の家に度々訪れている女性がいると思うんだけど」


中腰になったまま、霞のような色をした目を見開いて私を見る彼は………それてもまだ幼い可愛らしい子だった。


「あっ……あまね様、のこと…?知ってるの?」

「あぁ、知っているよ。私は鬼殺隊の剣士だからね」


腰に差した刀を掲げて見せると、彼はそれを見て、分かりやすく目を輝かせた。


「あなたも凄い剣士なの!?」

「さぁ、どうだろうなぁ……私は桜子。木こりの君の名前は、何て言うんだ?」




「俺は____時透、無一郎」




出会いはただ、剣士の末裔である時透兄弟に会ってみたいという気紛れだった。


それからも無一郎の元に足を運び続けると、初めは冷ややかな態度だった有一郎も、


「お前は何も言ってこないからな……無一郎の友人としてなら、家に入れてやる」


だんだんと私に心を開くようになり、言葉を交わしてくれることが増えてきた。




だが、それから数カ月もしない内……


どうしても外せない任務があり、無一郎たちを訪ねられない時期が続いた頃。


久し振りに訪ねた頃には、既にもう____有一郎も無一郎も、鬼に殺されかけていた。




「有一郎!無一郎!?そんな……何故こんな時に…返事をしろ!」


慌てて2人に駆け寄って呼び掛け、死にものぐるいで命を助けた無一郎は、目覚めてから、




「貴方は、誰?」




兄を殺された精神的なダメージから、それまでの全ての記憶を失い、健忘症を背負ってしまった。


その時の私が、どんな気持ちでそれを聞いたのか、今はもう思い出せない。


記憶を無くしてもぬけの殻同然の廃人となりかけた無一郎を、私は何とか世話することに専念した。


そうして、全てを忘れてしまっても兄を殺された“怒りだけ”を覚えていた無一郎は、やがて鬼殺隊の剣士になり………




「ようやく柱になったんだ。これで、“桜子さんと同じ場所”にいられるね」

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楓音(プロフ) - 作品とても楽しく読ませて頂いています!初の登場時からずっと気になっていたのですが、「炭治郎」を「炭次郎」と書き間違えていたのが気になってご報告させて頂きました💦ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません💦 (2022年3月22日 18時) (レス) @page6 id: 5a612b3e43 (このIDを非表示/違反報告)
むい推しの人 - 初コメです〜。一つ気になったことがありまして…。「連れていく」で登場した夢主ちゃんの服のことです。膝上の短い袴ってどんなやつですか?変に細かいところ気になってしまいました…すみません。長文コメ失礼しました! (2019年9月22日 14時) (レス) id: 00103e9837 (このIDを非表示/違反報告)
風雅(プロフ) - 初コメ失礼します。無惨の名を言うと殺されるという呪いは発動しないのですか?無惨に限って例外はないような気がするので。今後の展開が気になります!更新頑張ってください! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 0b2ef933c6 (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 14ページ目、悲鳴島ではなく悲鳴嶼だと思います.......物語は面白いので、更新頑張ってください! (2019年8月30日 2時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - オチを宇髄さんに一票! (2019年8月27日 18時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れんり@3回目 | 作成日時:2019年8月22日 20時

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