１４話 ページ15
足もとの違和感に目を覚ます。
もぞりと右足を布団から出すと、何かがさらりと触れる感覚。
研磨の頭か。体温を認識しそう断定する。枕から少し頭をずらし右足へ目をやると、案の定そこにはベッドに背中だけもたれて寝落ちした研磨が居た。
置きっぱなしのスマホに手を伸ばす。ロック画面に表示されている時刻は、１４時１３分。どうやら、布団をかぶった後本当に寝てしまっていたらしい。
それが吉と出たのか、まだ熱い気はするものの倦怠感はほとんどない。水分でもとろうかと思った矢先に研磨が起きる。
「んん…
ああ、おはようA…」
寝起きが悪いのは相変わらずで、目を開けたと思えば直ぐに閉じる。醒めきらない頭に酸素を入れようと息を深く吸い、縮こまった身体を伸ばす様は猫のようだった。
『おはよう研磨。首痛くない？』
研磨の首の安否を確認する。クロじゃあるまいし、あんな姿勢で寝て寝違えていないか。
「んー、そんなに長く寝てなかったみたいだし大丈夫…
あ、Aちょっと元気になってる。」
やっぱ寝て正解だったでしょ、と微笑むその顔は柔らかく、心配の糸が解け安心したように見える。
『うん。もう怠さもほとんどないよ。』
「食欲は？」
『ん〜、ビミョー…』
お昼ご飯を食べ損なったので、運動していないとはいえ少しお腹が空いている。が、何か入れたいわけでもない。研磨はちょっと待っててと言い残しまたも台所へと消えた。
冷蔵庫を開け、コンビニの袋らしきものを漁っている。袋ごと入れてしまうのが研磨らしい。
「食べないと、薬入らないから。」
これ吸って、と差し出されたのは栄養ドリンクのゼリーパッケージにはパンチの強い言葉が並んでいるが、今の体調に丁度いい。
ジュッと音がするくらい勢いよく飲み干すと、「急がなくていいから」とおかしそうに笑われる。
「はいこれ、錠剤。これしかなかったと思う。」
『えっ』
…なんてこったい。
そう、何を隠そうこの私、錠剤が大の苦手である。飲み込む感覚にいつまで経っても慣れず、粉薬に頼りっきりだ。
悪魔の宣告をしてきた研磨は、「合わない薬買ってきて症状悪化したら困るし」とぐうの音も出ない正論をかざす。
「あ、じゃあさ」
いいことを思いついたのか、猫の瞳がスッと細められる。その顔、クロに似てきたよ。そう伝えればどんな反応をするのか、それを知る前にとんでもない爆弾が投下された。
「…口移しで飲ませたげよっか。」
…なんて？？
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ねぎ - Rioさん» コメントありがとうございます！嬉しいです、励みになります〜!! (2022年9月27日 23時) (
レス) id: 124a1bc937 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 今晩、凄く素敵な小説を見てびっくりしました！更新、楽しみにしてます！(／^_^) ( 初対面なのにゴメンナサイ！) (2022年9月24日 19時) (レス) @page16 id: 9824f121c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねぎ＋ | 作成日時：2022年7月7日 21時
