あなたに好きと言われたい

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…。


…俺は夢でも見てるんだろうか。




『お熱高いね。苦しいよね、お薬持ってきたから。』




Aが俺のおでこに優しく触れて、
甲斐甲斐しく看病してくれてる。




えぇ、とても苦しいです。胸が。



ドキドキしすぎてしにそう…。




『ひんやりするシートも貼るね。
ちょっとひやっとするけど我慢してね。』




額の汗を拭いてくれたり、
シートを貼った上からさらさらと撫でてくれたり…

そんな動作に浮かぶ優しい表情を
下から見上げてる。



なんだか…マリア様みたい…。





え、まって俺本当にしぬの？




『北斗さっきからなに目を開けてうなされてるの。』

北「いや起きてるわ。」




やばいやばい。

本当に自ら召されてしまうところだった。



好きな女の子が可愛すぎてしぬってまるでネタかよ。




『キッチン借りていい？ごはん作るよ。』

北「あっ…、」




立ち上がってしまうAに、
行かないで、なんて残念がる思いの詰まった声が漏れてしまった。




『？どうしたの？』




ほんの一秒にも満たないようなわずかな声も拾ってくれたAは
もう一度このベッドの脇にしゃがんで、


困ったことでもあった？

何か取ってほしい？って。


俺がしてほしいこと言うのを待ってくれてる。




あの頃の…

黙る俺の気持ちを一生懸命汲み取ろうとしてくれてた学生の頃みたい。





俺もうほんと溶けちゃうよ。


そんなに甘やかしてもらったら、

溶けてだめになっちゃう。




北「なんでもない。ごめんな、ごはんありがと。」

『うん…？』




いかんいかん、しっかりしろ。


なんとか強がる俺に君は少し首を傾げて、
それならいいけど…、と今度こそ離れて行ってしまった。



そんな後ろ姿が名残惜しくて横目でこっそり見つめていると、

この部屋のドアを開けて
今まさに出ていこうとしてるAが不意に振り返って、




『すぐ戻ってくるからね。』




見透かしたみたいに、にっこり笑った。









北「…ずりぃよ、」




ぱたん、とドアの閉まったひとりきりの部屋。

誰に見られるわけでもないのに、
真っ赤な顔と恥と恋に布団を被せてごまかした。

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