始末屋SixTONES～Ⅳ～ (ページ16)

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完全に頭に血が上ってしまっている男に対してもう一度冷静に声をかける。

『私のこと刺したって彼女は戻ってきませんよ。離してください。』

心臓は破裂してしまいそうなぐらいバクバクしているのに、思っていたよりも落ち着いた声が出て驚いた。

“うるせぇ！！女のくせに俺に指図すんな！！！”

通信から樹が慌ただしく指示を飛ばしているのが聞こえる。

樹「慎太郎、そっから移動すんのにどれぐらいかかる？」

慎「倒れてる警備員が見つかったみたいで、慌ただしくなってきたからちょっとかかりそう。」

バタバタと慌てている声を聞いていると返って自分は落ち着いてきて、頭がすっと冴えていく。

『移動しなくても大丈夫だよ。』

あ、と声を出して男の注意を逸らした隙に首元に巻きついている男の右腕をグッと掴み、左足を後ろに引く。

そうしたら男の右腕を掴んだまま姿勢を低くし、腕を捻り上げながら男の背中に移動して、

膝裏を膝カックンの要領でとん、と押せば体格差も関係なしに拘束から抜け出すことができた。

“あ、っぐ、！”

『馬鹿にしてた女に組み伏せられるってどんな気分ですか？』

女だからって馬鹿にする奴に容赦しなくていい、男だから特別だなんてこと絶対にないのよ、と

男の子にいじめられて泣いて帰ってきた私に母はそう教えてくれた。

性別で否定してくる奴は男であることぐらいしか誇ることのない可哀想な人なんだ、とも。