始末屋SixTONES～Ⅳ～ (ページ15)

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依頼人を助けることに精一杯で彼女と入れ替わった位置から逃げる余裕まではなかった。

自身の婚約者だと思って捕まえた女が私だとわかって男は一瞬動揺したようだったが、

すぐに隠し持っていたナイフをどこからか取り出し私の喉元に突きつけてきた。

ジ「っ、！」

慌てたジェシーが私の名前を呼ぼうとして北斗に口を塞がれる。

仕事柄身分がバレると大変なことになるし、一応私はあの日死んだことになっているからだろう。

生きているとバレるわけにはいかない。

“そいつをこっちに寄越せ！！でないと、この女を殺す！！！”

『私は大丈夫だから、オニキス行って！』

北斗は何か言いたげだったけれど、依頼人をこれ以上危険に晒すわけにはいかないと判断したのだろう。

何度もこちらを振り返りながらも走っていった。

“戻ってこい！！こいつがどうなってもいいのか！？”

『私に何をしようと彼女は戻ってきませんから、大人しく離してください。』

落ち着けようと声をかけるも、私の首につけつけているナイフがカタカタと震えていることから相当この男が興奮していることがわかる。

大丈夫だと言ったのは自分だけど、明確な命の危機に今にも泣き言を言い出しそうになった。