Sweet butterfly〜Donghae〜

スーツなオッパ ページ20

*


なんで、今日に限ってそんな素敵な格好してるの！？


「お前！！そこを動くなよ！？」

「ひぃ！」


いや、無理だから！
考えるより先に、足が動くのが早かった。
とにかく、今のﾄﾞﾝﾍオッパとは会いたくなかった。


「あ、おい！待て！逃げるな！」


だけど。
いくら俊足のあたしでも、ミノに頼まれたタコスの上に
ドリンクも持ってるんじゃﾄﾞﾝﾍオッパに敵うわけもなく。

あっという間に距離を詰められる。


「待てったら！何で逃げるんだよ！」

「ぎゃー！こ、来ないでーー！」

「おまっ！何だよ来ないでって！待て！」

「あっ！」


グイッとパーカーのフードを掴まれて、カラダが仰け反って。
その拍子にオッパの胸に背中がぶつかって、オッパの腕があたしの肩をガシッと掴んだ。


「ぎゃっ！」

「だ、大丈夫か？」


頭の上からオッパの声が聞こえて、フワッとオッパの香りがあたしを包み込んだ。
胸がギュッと掴まれたみたいに苦しくなる。
オッパの胸の鼓動が背中にダイレクトに伝わって、おかしくなりそう。

あたしはオッパの腕を振りほどいて距離を取った。


「なんだよ。何で逃げんの！？」

「それは！オッパが追いかけて来るから！」

「ハァ？それはお前が逃げるからだろ！！」

「え、いや、その！ミノが、お腹空いてるって言うから急いでて」

「嘘だろ？」

「え…？」


オッパの大きな手が追いかけてきてあたしの頬をギュッと挟んだ。


「や…」


挟まれた頬が、急激に熱を持って行くのがわかる。


「他に、俺に会いたくないわけがあるんだろ？」

「べ、別に」


オッパがキラキラの瞳で見つめるから、視線が合わせられない。
視線を下に移したら、いつものカジュアルな服装とは違うフォーマルなオッパ。


ああ、オッパ。なんで今日に限ってそんな格好で。
どうしてそんなにカッコいいの？

こんな状況なのに、スーツ姿のオッパに見惚れてしまうあたし。


「ん？ハニ。俺に言うことがあるだろ？」

「………」


そうだ。
見惚れてる場合じゃなかった。
ここは、潔く謝らなきゃ……


「ヒョン。ごめんなさい…」


*

避ける理由〜DH〜→←動くな！〜DH〜

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