にかちゃんだよ〜とは言えない③ (ページ19)

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キングさんページ19

sideふじがや

「めめくん背伸びました？」

「もう伸びませんよ。ちょっと厚底だから。」

事務所内の部屋から出ると、並んで歩くふたりを見かけた。SnowManの目黒とそのマネージャーAちゃん。

オレが先に二人に気付いたわけだけど、割とすぐ二人もこちらに気付いて。お疲れ様ですと声をかけてくれた。もちろんオレも挨拶を返す。

……これ、絵になってんな。オレの脳内では4回目のニカの耐性をつける会がシミュレートされていく。

ラウールほどではないとはいえ歳は離れているはず。高校が被らないくらいには。

ただ本当にそれだけで、目黒は大人っぽいから20代だけど詳しくは何歳か分からない、と思わないでもない。だがそれがいい。

「いいねぇ。これいいんじゃない？第4回。」

「……めめくんはちょっと歳近くないですか？」

「いやいやいや、これからは近くいかないとね。」

「えっと、なんの話で……？」

本筋すべてを説明するわけにもいかないので、他の人にも説明した仮の内容(ちょっとした映像撮りたい)を伝える。ドラマや映画によく出ている目黒ならすごくいい作品が撮れそうだよね。

それを聞いた目黒はAちゃんをじーっと見つめて。その視線に気付いたAちゃんは思わず後ずさり。

「迫力が……。」

「オレそんなに怖いですか？」

「怖いわけじゃなくて！整ってるから圧がすごい……？」

……目黒がそうでるなら対抗したくなってきた。もはやニカとか関係なくただオレがAちゃんをドキッとさせたいだけ。キスブサの練習のときと同じように。

「大丈夫？」

後ろから両腕を支えるような体勢を取る。

目黒、目見開いたね。Aちゃんはと言うと、マイコスイッチが入ってない状態からのこれだからかだいぶ慌てて。

「だだだ大丈夫ですっ！」

「ふふ、かわいいね。」

「ガヤさん！からかわないでください！」

「……すご。これがキング……。」

「めめくん何拍手してるんですか！？」

慌てるAちゃんとは対称的におーと言いながら手を叩く目黒。と言うか「キング」って呼び名、意外と知られてるのか。

勉強になりますとペコッと頭を下げた目黒、ちょっと末恐ろしく感じる。

もしオレがさっきやったことを目黒がAちゃんにやったとしたら。

……兄でないオレでも何やってんだ！って言いたくなる気がしてきた。