にかちゃんだよ〜とは言えない③ (ページ2)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:127,066 hit

ハチワレちゃん① ページ2

.

※いつにも増してあり得ない話になっております。

♪〜

いつものように私が最近ハマってる曲がアラームとして鳴り響く。スマホを置いているベッド横のサイドテーブルに手を伸ばそうとする。

……ん？

腕が伸びている感覚がしない。手の先がまだ布団の質感。パチっと目を開けてサイドテーブルの方を見る。

「え、なにこれ。」

腕が白い毛に覆われている。そしてこれはどう考えても猫のもの。この家で猫なんて飼っていない。そこから導き出されるのはあり得ない答えで。

布団から這い出れば、腕以外も毛で覆われているのが分かる。そして四足歩行なことも。なんとなく答えは分かっているけれど、鏡の前に移動する。

「マジで猫じゃん！！！」

その声だけは人間だった。人語を話す猫になっちゃっている。ベース白で黒が入ったハチワレにゃんこ。我ながらかわいいなと思ってしまった。

コンコン

と、私の声が思ったより大きかったらしい、にぃにが部屋の扉をノックする音。

……今の私じゃ扉を開けることはできない。実際ににぃににも猫に見えるのか確認のためにもこの扉を開けてもらわねば。

「朝からどうした？」

「ちょっと扉開けてもらってもいい？」

「お、おう。入るぞー。……ん？」

にぃにの視線がゆっくり下に移り、そして私を捉える。今までにないくらい見上げる形になって、人間ってこんなにデカいんだって感心してしまった。それどころじゃないんだけど。

「にぃに、私何に見える？」

「うわっ喋った！」

「てことは猫に見える？」

ベッドの方に行って掛け布団をめくり、人が隠れられそうなクローゼットも覗いて。どこにも「私」が見当たらないことを確認するにぃに。

「本当にお前がAなのか？」

「信じられないけどそうなんだよ。鏡見てびっくりした。」

「マジで猫が喋ってる……。」

その後、にぃにが私を抱っこしてリビングへ。幸い、今日はにぃにの仕事は夕方前くらいから、私は休みの日。1日で治ればなんとかなる。

膝の上で頭をなでなでされて顎の下もこしょこしょされて、完全に猫と化した私とただの飼い主と化したにぃに。

「これ、人間のご飯食べちゃダメだよねー。……そうだ、わた。」

そう言うと、テーブルに置いていたスマホで電話をかけ始めた。電話の相手はよこーさん。どうやらよこーさんも夕方まではオフらしい。

……あー、私、どうなるんだろうなぁ。