にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ5)

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真夜中の帰宅① ページ5

sideいわもと

今日は久しぶりにみんなが揃ってのレッスン。ツアーまで日がなくて、気付けば日付が回るまで練習を続けていた。……普段からこんな時間までやっているわけではないよ？

さてこの深夜練習に巻き込まれるのがマネージャーであるAさん。

深夜残業手当がつくという時間の前に、帰っていいよとは言ってみたけど、マネージャーが残らないでどうする！とビデオ撮影したり音流したり、空いてる時間はパソコン作業。

普段切羽詰まってやってる仕事が一気に片付いてるから気にしないで！なんてオレたちが気に病まないように言ってくれて。

やっぱりちょっと気になるけど精神的には少し軽くなった。

「よし、今日はここまでで！おつかれ！」

俺が声をかけて、この日の練習は終了。みんなクタクタで、フラフラしながらシャワーを浴びに行っている。オレはシャワーを浴びに行く前に、Aさんに声をかける。

「オレが送っていくから待ってて。」

「そんな、疲れてるのに……。タクシーで帰りますよ。」

「大丈夫、ここまで付き合ってもらったし。家そんなに遠くないし。ね？」

Aさんを丸め込んで、オレも大急ぎでシャワールームへ。すでにみんな来ていて、早いやつは浴びてる最中。まあさっさと帰りたいよな。

「ひかる、Aちゃんと何話してたの？」

「送っていくって言った。」

「おお！さすがだねぇ。」

阿部がニコニコしながら、やっぱり好きなんだねぇなんて言うもんだから、そういう意味じゃないからな、と釘を刺しておく。……あの顔だと信じてねぇな。

まあ実際、気持ち的にはオレが言ったことはウソになるから、阿部が当たってるんだけど。

ささっとシャワーを浴びて片付け、大急ぎで先程のレッスンルームへ。なぜか阿部もついてきて、オレとAさんが合流するところを見届けて、また明日ねーと帰って行った。

……あいつ、何がしたかったんだ？

「じゃあ、帰ろっか。」

「よろしくお願いします。」

駐車場でオレの車に乗り込み、早速発進。

「思いっきりミッドナイト・トレンディな時間じゃないですか！」

「……おお、深夜2時。」

車の時計は「2:00」を表示していた。オレがアルバムで選んだ曲に出てくる時刻。

残業して帰るときによく聞いてるんですよね、とAさん。

……やばい、嬉しいの度合いが違いすぎる。自分が選んだ曲っていうのはやっぱり大きいんだな。