にかちゃんだよ〜とは言えない② (ページ18)

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君との始まり⑧ ページ18

sideめぐろ

デビューしてからSnowManの担当になったAさん、実はそれ以前に何度か顔を合わせていたんだよね。

その時はどんな種類の仕事してるのかは知らなかったんだけど、同じタイミングで休憩スペースにいることが多かった。

冬の時期はコンポタとかおしることかスープ系の温かい缶を飲んでいたことも覚えている。基本的にはお疲れ様ですとか挨拶しかしてなかったけどね。

だから、マネージャーとして紹介された人が休憩スペースでよく顔を合わせていたあの人だと知ったとき、思わず「あ」って言っちゃった。

ついでに言うと、名前が藤堂Aさんであることを知ったのもその時。

それから少し経って、オレ単独の仕事現場にAさんが付いてくれたことがあった。雑誌の写真撮影なんだけど、ジャニーズWESTの小瀧くんもいて。

「あら、藤堂さん。お久しぶりですー。」

「お久しぶりです。」

どうやら面識があったらしい。にこやかに会話を交わす二人。悔しいけど、オレより仲良さそうで。

一通りの会話が終わったところで、小瀧くんが撮影場所へと移動。すかさず話しかけた。

「小瀧くんと知り合いだったんだ。」

「私が新人の頃にちょっとWESTさんたちと関わりがあって。」

「おー、初耳。」

小瀧くんオンリーじゃなくてWESTさんグループ単位。それを聞いてなぜかほっとした。

「あ、コンポタ。いつも買ってたやつ。」

「やっぱり覚えてるんですね。粒入ってるからご飯食べれなくても飲むだけでいいから買っちゃうんですよねー。」

「……なんか思ってた理由と違ってたわ。」

机の上にコーンポタージュの缶があることに気付いて。それでポロッと言ってしまったんだけど、思いもよらない返答だった。好きが第一じゃなくて、忙しいからのような答え。

それもある意味かわいく思えて、ちょっと笑ってしまったら。

「そんな面白いことじゃないのに……。」

「あー、面白いからじゃなくてかわいいなって思って。」

「さっきのどこにかわいい要素ありました？」

ちょっとぷくっと膨らむほっぺた。ほら、そういうところもかわいいんだよ？

日々仕事現場が一緒になっていく中で、Aさんの「かわいい」がたくさん見つかって。

その「かわいい」が違う意味を持ち始めるのには、そう時間はかからなかった。