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落とさなかったメイクを少しだけ直し、
鏡で自分の顔を確認する。
我ながら嫌な顔をしている。
でもこれが望んだ姿だ。これでいい。
そう頷き、チャイムが鳴るのを待った。

チャイムは鳴らず、代わりに携帯が光る。
確認すると

着いた

と一言だけのメッセージが表示され、私はゆっくりと玄関のドアを開けた。
キムソクジンは少し疲れた顔をして片足に体重をかけ立っていた。

「チャイム鳴らしてくれればいいのに」
「いや、まぁ」

特に気にする様子もなく、以前と同様ずかずかと我が物顔で我が家に足を踏み入れる。
コートとジャケットを脱いでソファに放り、その隣に深く腰をかけたキムソクジンに向き合うように座る。

「明日も仕事でしょ」

今日は平日だ。気遣うような声色で語りかけたが、これは さっさと事を進めて終わらせましょうという意味を込めた言葉だと、彼は気付くだろうか。
キムソクジンは疲れた様子を見せながらも口元だけで笑い、

「何?早く帰れって?冷たいね」

と返した。
そうだ、私だって明日も仕事だ。その言葉に鼻で笑い返し、羽織っていたカーディガンをそっと脱ぐと
そんなに焦らなくても、と制止される。
何週間も連絡をしてこなかったくせによくそんな事が言える。
しかしもちろん私はそんな事は口にしない。
あくまで冷静に、なんと言っても私は恋人では無いのだ。

「他に何することがあるの」

話でもする?と嫌味を含めて言い放つと、キムソクジンは少し息を吐き

「話をするのも悪くないね」

なんて言う。
一体私たちに何を話すことなどあるのだろうか。
いや、私に だ。キムソクジンの存在を引けば何も残らないこの私に。

「話すことなんてないけど」
「そ?じゃあ‥‥」

ぎしっとソファを鳴らせて立ち上がる彼のシルエットはどこまでいっても触れることの出来ない存在の影だった。
こんなにも近くにいるのに、恐ろしい程に遠い。

お望み通り、と言いながら近づいてくるキムソクジンに違和感を感じた。
望んだのは連絡をしてきた彼のはずだった。
本当に話をしに来たというのか、まさかそんなはずは無い。

ゆるゆると首を回しながらワイシャツに手をやるキムソクジンは
異星人のようだった。

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K(プロフ) - sunnyさん» コメントありがとうございます!ジンくん目線!凄くいいですね。整理が着いたら書いてみたいと思います!本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2021年10月15日 20時) (レス) id: 2712528a63 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - すごいどストライクの作品で大好きです💜!この作品のジンくん目線?の内容もすごい気になります!これからも大変かと思いますがお話頑張ってください!! (2021年10月15日 18時) (レス) @page37 id: 5ee4f4580f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - びぃんさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。こんな最低の男にしてしまって申し訳ないですが気に入っていただけて良かったです! (2021年10月11日 18時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)
びぃん(プロフ) - いやめちゃくちゃ好きです何だこれは……すっごい昂りましたありがとうございます神様仏様K様…… (2021年10月11日 18時) (レス) @page37 id: 57661bab90 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - ほまさん» コメントありがとうございます!激アツ、凄く嬉しいです!風景を思い描いていただけて良かったです。これからも少しずつですが書き進めていこうと思いますのでまたご覧頂ければ幸いです。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: d7c2a5623f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:K | 作成日時:2021年10月2日 19時

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