文豪世界のとあるお話【文スト】【短編集】

【江戸川乱歩】お茶会 ページ11

今日、乱歩さんとAは、お茶会(ティーパーティー)を楽しんでいる。

『乱歩さん、このケーキ、美味しいです！！』

「そうに決まってるよ！だって僕が選んだんだから！」

『乱歩さんが選んでくれたんですか？』

やったぁ

と心の中でつぶやいた。

乱歩さんが選んでくれたものだったらなんでも嬉しい。

なんたって私は乱歩さんが好きだから。

でも、乱歩さんは……。

「Aちゃん、これ食べてみて！」

そういって乱歩さんがAに渡したのは…

『わ、わ、わ、私の大好きなショートケーキ！！しかも、私がすっごく食べたかった有名ショートケーキ専門店のショートケーキ！！』

いや、それはそうだろ。

ショートケーキ専門店なんだから。

『なんで私に？高かったんじゃないですか？』

「だって、Aちゃんが食べたいって言ってたし…。」

『私！？乱歩さんに言った覚えないですよ？！でも買ってくださったんですか？』

そう言うと、乱歩さんはAの方をじっと見た。

『どうしたんですか？私に何か付いてますか？』

「Aちゃんの好きなもの買ったら、僕のこと沢山見てくれるかなーって。Aちゃん、ケーキのことばかり見て、僕のこと、見てくれないんだもん。」

『それは…』

「僕よりケーキの方がいいから？」

『違います！乱歩さんが好きだからです！』

乱歩さんが疑問の顔になった。

『乱歩さんが好きだから、見れないんです！』

「じゃあ、僕のこと、見ててくれる？」

『もちろんです！』

「今度はケーキじゃなくて、ちゃんと僕の力で僕のことを見ててくれるようにするからね！」

名探偵にも難しい恋はあったみたい。

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