星の煌めきを閉じ込めて ページ7
❈
目の前にある淡い碧の琥珀糖。
美しくカットされたそれは、夜空を宝石に閉じ込めたような色をしていた。
一口食べれば甘みが広がり ついつい食べる手が止まらなくなってしまう。
『(あまい………きらきらしてて、かわいい…)』
Aの目が、僅かに細められた。
皿の上にはあと二つだけ。
食べてしまおうか、それとも取っておこうか。
けれど二つ、普通ならば食べるのが妥当だ。
芥川兄妹からの贈答品。
太宰に頼めば同じもの……いや、それ以上のものを貰えるのだろうけど そうする心算はなかった。
贈答品で貰うからこそ、良いものもある。
特別味だろうか。
何か 普段とは違う暖かい気持ちを抱え、1つを摘み 口へと放る。
甘い、されどその甘さはくど甘い訳では無く
優しい甘さだ。
却説、残り一つとなった。
幾つもあったものが無くなり 最後には一つになってしまう寂しさや残念さはいつまで経っても慣れない。
貰い物なら余計に、食べてしまえばその気持ちさえも無くなってしまう気がして 如何にも踏ん切りがつかなくなってしまうのだ。
仕方ない、取っておいてもあと一つ。
眺めていても増える訳では無い。
意を決して食べようとすると、ひょい と
見覚えのある細長い指が琥珀糖をさらっていく。
そして、それは彼の口の中へと放り込まれた。
｢ん、甘い｣
『さいごのいっこだったのに…！』
恨めしそうな目でAは太宰を睨むものの、彼は飄々とした笑みを返すだけ。
怒る気力も消え失せ、ため息が無意識に溢れ出る。
その数秒後、Aの薄く柔らかな桜色の唇に 太宰の少し硬い唇が重ねられる。
甘い、琥珀糖を彼も食べたからだろうか。
唇が離れると彼は満足そうに微笑み、抱きしめた。
逃がさぬ様に、と まるで捕らえるように。
｢ご馳走様｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 312人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» 太宰治様ですね(*^□^*) 了解です(*´∀`)♪ (2021年8月24日 18時) (携帯から) (
レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まふ(元月瀬)(プロフ) - 追記しましたがお相手だざさまですー (2021年8月22日 22時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» じゃあ、中也様が孤児の幼女主を拾い、その日以来すっかりシスコンで、デレメロのをお願いします(v^ー°) マフィア全員の癒しです、勿論探偵社もです(〃ω〃) (2021年1月23日 11時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まふ(元月瀬)(プロフ) - 紅月ミレーさん» ありがとうございました♪紅月ミレーさんには初期からお世話になりました、ありがとうございます。作品はまだ決めた無いので絶対に作れるとは言いきれませんが、もしご案があるならお聞きしたいです♪ (2021年1月23日 10時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» 黒太宰治様と夢主ちゃんの、二人きりの結婚式滅茶苦茶良かったです(〃ω〃) 最終回で寂しいですが、此れからも頑張って下さいね(o^−^o) あ、リク作品は有りですか(´・ω・`)? (2021年1月21日 21時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まふ | 作成日時：2020年6月30日 20時
