【文スト】霊感持ちの異能力者は毎日大変です。

クレェプの味 ページ29

雨森 side

手を繋いで横浜の街を闊歩する。

ふと、甘い香りがあたりを包む。
横を見ればクレェプを持った女性達。


チラリ、と久作君を見ると その視線はクレェプに釘付けだった。
キラキラと純粋に瞳を輝かせ、握る手に少し力が掛かる。


『食べたい？』

夢 ｢えっ……いや…でも……｣


困惑と驚きの表情を浮かべる。
その顔を見て私は…


『よし、食べよ！』



彼の手を引いて 販売している車へと歩き出す。

*＊*＊*＊*

購入した2つのクレェプ。


私のは ストロベリーチョコレートホイップクリーム。

久作君は バナナキャラメルホイップクリーム。


何方からも、甘くいい香りがする。


自分のクレェプを頬張ると、苺の酸味と程よい爽やかな甘み。
チョコレートとホイップクリームも甘過ぎずに丁度良い。

チラリ、と横を見ると食べるのを戸惑っている久作君。


『ほら、食べてご覧』

夢 ｢うん……｣


小さな口で頬張ると、キラキラと瞳を輝かせる。


『美味しい？』

夢 ｢うん、美味しい…！｣


そっと頭を撫でながら私も食べる。

甘い香りがこの空間に漂い、なんとも言えない幸せな気分になる。


『却説、次は何処に行こうか？』

夢 ｢あれ、乗りたい｣


指された方をみると みなとみらいの観覧車。
今日は雲一つ無い快晴ということに今 気が付いた。


『じゃあ、次は観覧車に乗りましょう』

夢 ｢うん｣



ニッコリ、と笑った久作君の瞳は濁っていたけれど 私は気付かなかい。


そして、この時私は気付いていなかった。
彼の本心に……

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