人間失格 三 ページ36
ふと、私は社のデスクを見る
“人間失格“
「ああ……借りっぱなしで帰ってきてしまったのか」
そう呟いてから私は国木田くんの目を盗んで読む
「太宰さ_______何してるんですか?」
「本を読んでるのだよ」
「太宰さんがあの本以外読んでるのを始めてみました……ってその本は」
そう言って敦君が用件を忘れたのか私の読む本を見る
「借りっぱなしじゃないですか!」
「ああ……でも、また会えると思うよ?」
そう言うと敦君は首を傾げる
「なんでそう思うんですか?」
そう言われて私は本に栞を挟んで敦君の方を向き
「そう思ったからだよ」
そう言って笑う
なんせ、私達は”太宰治“だからね
彼の台詞を借りるなら……
「彼は、天才小説家だからかな」
そう言えば敦君も判ったのか少し笑う
「……さ、任務だろう?行こうか」
「はい!」
そう言って外に出る
今日のヨコハマも騒がしい
そんな人の群れをかき分けていると
「太宰!」
そんな声が聞こえて振り返る
最初見たとき、織田作と間違えそうだった赤髪の彼は満面の笑みで手を振る
私は立ち止まって手を振り返した
「久しぶり、天才小説家の太宰先生?」
_______話がたまたま
某というハイカラな小説家のことに及び、
彼は小説を女を口説くための道具にしているが、
あいつはばかだよ
と坂口安吾が言うと、
太宰治はわれわれの小説は
女を口説く道具にしたくっても
出来ないじゃないか、
われわれのような小説を書いていると、
女が気味悪がって、口説いても
シュッパイするのは当り前だよ、
と津軽言葉で言った
織田作之助 『可能性の文学より』
ー完ー
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杏奴(プロフ) - こちらの小説を初期から読んでいました。完結しているようですが、番外編として文スト×文アルの短編集を執筆していただけませんか? (2020年3月17日 12時) (レス) id: 528c02e07c (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 長音_chinon_さん» ありがとうございます! (2019年10月19日 11時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
長音_chinon_(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しかったです! (2019年10月18日 22時) (レス) id: a14d8293f8 (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 歴史馬鹿さん» ありがとうございます! (2019年10月14日 17時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - リュカさん» ふふふふ新作おめでとう (2019年10月13日 21時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュカ | 作成日時:2019年10月10日 11時