無頼派 ニ ページ22
「……ねぇ、私、今日の朝君と司書ちゃんが話しているのを聞いてしまったよ」
そう言って太宰は俺を見る
「え……」
「聞こえてへんと思っとったわ……ワシ、結構大きい声で注意逸らしたのに」
「これでもポートマフィア幹部だからね」
「え?」
「わかってる、自分でも何か違和感があるんだ。あの虎の少年……敦君、だよね」
そう言って太宰は左腕の包帯を外す
「これは……矢っ張り侵食されてたんだな」
安吾が腕に触れながら言うと太宰は頷く
「痛くないんだ。でも……この文字が多くなるに連れて日に日に忘れていくことが多くなるんだ。本当に私は探偵社員なのか?って」
そう言って太宰は右腕の包帯も外す
「こちら側に出来た時、織田作や安吾の事も忘れそうになった。嫌だったよ……心底」
そう言って太宰は両腕を見る
「こんな文字如きに私が何故?というか……皆、こんな風になってないのに何で私だけが?って思った」
そう言われて俺は腕を見る
“ストレイドッグスに”
“馬鹿だよ……織田作”
“人を救う_______?”
「……この文字はきっと私の台詞なのだろうね、でも」
“君は私の計画を阻止?“
”君では私は殺せない“
”君は地獄に___________“
「覚えがない」
そう言って太宰が腕を下ろす
風呂の中でも黒い文字は見える
「……俺が思い出させてやる!多分それは作品が侵食されてるからだって司書も言ってた!俺達で浄化して思い出させてやるよ」
そう言えば下を向いていた太宰は俺をじっと見る
最初に会っ時のような冷たい目ではなく
純粋な、光のある目だった
「太宰クンがそこまで言うならやらなあかんなあ」
「ったく、仕方ないなぁ」
そう言ってオダサクも安吾も太宰を見て笑う
多分太宰は弱さを見せる荷が苦手なのかもしれない
”弱さを曝け出す君は凄い“
その言葉は、太宰自身に当てられていたのかもしれない
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杏奴(プロフ) - こちらの小説を初期から読んでいました。完結しているようですが、番外編として文スト×文アルの短編集を執筆していただけませんか? (2020年3月17日 12時) (レス) id: 528c02e07c (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 長音_chinon_さん» ありがとうございます! (2019年10月19日 11時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
長音_chinon_(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しかったです! (2019年10月18日 22時) (レス) id: a14d8293f8 (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 歴史馬鹿さん» ありがとうございます! (2019年10月14日 17時) (レス) id: ca9d24e2f0 (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - リュカさん» ふふふふ新作おめでとう (2019年10月13日 21時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュカ | 作成日時:2019年10月10日 11時