不器用な君の手に包まれて (ページ20)

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◇ ページ20

「……と言うことだ」

「はぁ…」

すごい事になったぞ

「ゆ…ユンギヒョンそれ本当なの……？！」

「嘘はつかねぇ」

呆気にとられる俺を置いて1人でワクワクしてるホバ

俺もワクワクしてないことはないけど

ただ状況が理解できずにいるのだ

「WINGSでやってるライブとは比べ物にならないくらいデカいからな。気を引き締めねぇと」

WINGSに来て早々ユンギヒョンの口から伝えられた

ー「俺ら3人が"Killer Rap"に招待を受けた」ー

Killer Rapはプロ、アングラ関係なく実力のあるラッパーが集められる

ラッパーであれば一度でも登りたいステージだ

そこに俺らが…招待されたなんて

「ナムもういいんじゃねぇか？」

「へ？いいって…？」

「Aだよ。まだ一回しか見せてやってないんだろ？」

そう言い肩を小突いたユンギヒョンは複雑な表情をしている

俺はまだAにラップをしてる所を一度しか見せたことがない

未熟なラップをAに聞かせたくないと言う俺の幼稚なエゴで

「今更…来てくれますかね……？」

「何言ってるんだよナムー！Aが行かないはずないだろ！！」

「いや…でも」

「おいナム」

「は、はい」

さっきよりも低い声

恐る恐る顔を向けると何故か得意げな顔のヒョン

「俺が手塩にかけて大切に育てた妹のAが、そんな小せえ人間なわけねぇだろ？」

「主に育てたのヒョンじゃないけどね」

「ホバなんか言ったか？」

「私チョンホソク何も申し上げておりません」

「よろしい。で、ナム」

「はい」

ピリッと緊張が体を駆け巡った

「今のAがどうしてもらったら嬉しいか。それはお前が一番わかってるんじゃないのか？」

「ヒョン…」

「ま、あとはお前に任せるわ」

「はいっ…！」

"さてこれからしばらく忙しくなるぞー"なんて伸びをするヒョンはすっかりいつもの姿

俺よりも少し小さな背中が

いつもよりも大きく、広く見えた