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ジェシー
「え？」
「おはようございます。ルイス様。私Kurasawahouseholdの伊藤翼と申します。こちら名刺です。」
「あ、俺も名刺持ってきます。」
「いえいえ結構です。お手を煩わせますから。」
「ほぉ、、。」
目覚ましもまだ眠っている時間にインターホンが何度も鳴らされた。ユウさんかと思ったが、まさかユウさんがこんな失礼なことをするわけがないと出てみたら、張り付けたにもほどがある笑顔の男が立っていた。確か樹の報告書で見たことがある。
目は線になって山が2つ並んでいるみたいだし、口はアルファベットのVだ。
そんなに笑顔で来られても、俺寝てたし。
「しばらくの間私がこの地域の管轄をさせて頂くことになりましたのでご挨拶に。特にルイス様は特別なお客様とお伺いしておりましたから1番にご挨拶を、、と言いましても失礼をしてしまったようですね。」
目やにがついて浮腫んだ俺の顔を見て眉を垂れ下げる。笑顔を引きつらせるのは様になってるけどわざとならやめてほしい。俺だって恥ずかしいんだよ。
「大丈夫です。京本さんの代わりってことですか？」
「はい。期間は未定です。」
まだ京本の方がマシだった。
直感的に関わりたくない男だと思ったのだ。
伊藤は京本とライバル的な存在だと樹が言っていた。
会社には倉沢を支持する伊藤派と、前社長を支持する京本派がいるらしい。倉沢が仕切っているから京本派は息を潜めているが、勢力で言えば京本派がリードしているという。
俺もどちらかと言えば京本派になるのかもしれない。
なんというか、ずっと怖い。
恩や情をもたなそうな、歯向かったら容赦しなさそうな、京本よりもずっっと強い支配性を感じる。
「そうですか。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願い致します。」
指の先を揃えて差し出された右手に戸惑いながら左手を近づけるとグッと掴まれた。力加減が正しくない。
「F18を大層お気に召していると聞きました。」
「えぇ、、非常によい家政婦さんです。」
「まぁ！では説明されているとは思いますが、、改めて、永久雇用契約は、いかがでしょう？」
「永久、？」
「おはようございます。」
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作者名：久遠さん
| 作成日時：2021年9月19日 0時
