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「ジェシーが依頼に来て調べてるのにおかしいなって思ってたんですよ。いくらユウさんを直接調べていないにしても何も制裁がないなんて甘すぎなんじゃないかって。そんな時に師匠とネタが被ってることを知りました。」
「前から俺も追ってたのに全く尻尾が掴めなかった。胡散臭さプンプンの社長なのにだよ？」
深澤が鼻を摘まみながら隣の森本の脇腹を肘でつつく。あからさまに嫌がる森本に楽しそうに笑って話を続けた。
「それが途端にボロが出てきたんだよ。俺じゃなきゃ見過ごすようなもんだけど、あんたが流した奴だな？京本さん。」
内心驚いている森本だったが悟られまいと唾を飲み込む程度にリアクションを抑える。それに気づいた深澤は口をへの字にして笑いをこらえた。
「そうですね。あなたたちが調べた通りのことをしようとしています。」
「京本さん凄いですよね、綺麗な顔こんなになっちゃっても全然へこたれない。」
笑うというより緩んでいる田中が京本の痣になった頬に触れようとすると「ちょっと！」と森本が振り向いてその手を払う。
それに驚いて京本と田中が瞬いた。
「やめなよ、樹。見つめあう仲なんだから。」
「見つめあってませんから！」
ニヤニヤとする深澤に呆れながら否定して森本が前を向く。
シートに乗っかって犬みたいに見てたじゃない、と小さくからかう深澤に「違います。」と森本が犬さながらの威嚇をした。
「とにかく京本さんの希望をちゃんと聞きましょうよ、師匠。何の交渉で呼んだんですか？」
京本に注目が集まって、森本から借りた緩いズボンを握る。
望みは1つしかない。
「深澤さん、あなたが書いてるうちの記事からユウとナナセについてを削除していただきたい。過去の利用者リストと引き換えだ。」
深澤がニヤリと笑う。鋭い目がダークに光った。
「そんなの解放された人間に聞けば手に入るよ。バカなの？」
京本がう"っとまずい顔をする。
確かに価値があるものだが深澤の実力ならある程度は手に入れることが可能ということを見落としていた。
追い込まれ過ぎている。
森本が不安げに振り向いてビー玉のように綺麗な瞳でまっすぐ京本を見つめる。田中はあまりの分かりやすさにジェシーに似ていると森本に愛しさを覚えた。
「まぁ師匠、そんなに詰めてあげないで下さいよ。色々あるんすよ、ね？京本さん。」
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作者名：久遠さん
| 作成日時：2021年9月19日 0時
