ページ ページ21
昼にナナセの名前を使ってアポをとる連絡を入れてみたら、折り返しでその日のうちに新内と会う約束ができた。
退社してから新内の会社へと向かう。金属の棚に金属のデスク。全体的に安価で質素な社長室では白髪頭のごく普通なおじいちゃんが待っていた。
それが意外だった。てっきり仏頂面で覇気のあるおじいちゃんが待っていると思っていたのに。
「J.というアパレルブランドを経営しております。ルイス・ジェシーと申します。ナナセさんのお友達と親しい仲でして。」
名刺を差し出してみたものの、それを受け取ってくれる気配はない。
やっぱり怖い人？と思いながらデスクの上に名刺を置いた。
「儲かっていないのか？」
「はい？」
「私を脅して金でも貰おうって魂胆か！？」
「違います違います！！」
般若の顔つきで灰皿を持って振りかぶった新内から守るように両手を出して身を縮める。
こんなうまく会えちゃったら答えなんて決まってたみたいなものだ。
「俺も利用してるんです！その家政婦さんを。」
「バカな。」
「本当です！銀色のペンダント。トップがメダルみたいになってて、、裏に、星座が書いてある。」
新内の顔の力が抜ける。灰皿が下ろされてデスクの上に置かれた。
「ナナセは、お前のところにいるのか？そうなのか？」
目を見開いた新内が早歩きでこっちへ来て俺の胸ぐらを掴んだ。しがみつくように、請うように。
「その前に教えてください。あなたと新内ナナセと呼んだ家政婦の関係を。」
新内の腕を掴みお願いすると、新内はずるずると俺から手を離して社長席に魂が抜けかかって戻っていった。
「ただ、、寂しかったんだ。」
背もたれに体を預けた新内は下を向きながら途切れそうな声で話し始めた。
「それだけできっとまだ未成年だったあの子を買ったんだ。ナナセと呼んでくれと現れたあの子はきっちりした子でね、演技も上手だった。だから私もその世界に入り込んでしまって、あの子を育てていた。
それである日、仕事のことを何気なくあの子に話していて、頭の良さと経営の才能に気づいてしまった。だから仕事上家にいるしかないあの子に社長としてのノウハウを学ばせていった。」
「それで、養子にしようとしたんですか？」
「あぁ、、あの子の虜になってしまった。忘れていたんだよ、あの子の何もかもを奪う存在だということを。
そして私は、あの子に何も相談せず永久雇用契約を結んだ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 475人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：久遠さん
| 作成日時：2021年9月19日 0時
