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「実は一昨日の夜、京本さんを拾いました。」
「京本？って、、俺の知ってる？」
「そうっす。ボコボコにされてるのを保護したんですよ。それで昨日休んだんすけど、ナナセさんについて調べろって言われたんです。ほら、ペンダントの話をしたら。」
「ちょっと待って、なんでボコボコ？」
「知らないっす。」
だから昨日から伊藤に変わったのか？じゃあボコボコにしたのは伊藤？それとも無関係？
というか、普通な顔して凄いことを話してきてない？目黒。
ナナセは存在しないのにそれを調べろって京本は目黒をからかったのか？
「ナナセさんを調べるの？本当に言ったの？」
「はい。助けてくれたお礼に助言って感じで。「簡単にわかる。」って言って。」
「でもほら、えーっと、俺も調べたんだよ。そしたら孫なんていないって。」
「、、、え！？」
目黒が野太く叫んで海老のように跳ねながら後ろへと下がる。全ての視線が目黒に集まって、慌てて人差し指を口に当てて「シーッ！」と目黒を呼び寄せた。
「どういうことっすか！俺喋りましたよ。」
「うん、だからぁ、、とにかくいない。そこまでわかってるんだ。」
「京本さんそれ知らないからあんなこと言ったんだぁ。」
顎に手を当ててこれは難しい、と花壇を眺め始めた目黒の発言に俺の脳ミソがピカッと閃く。
逆だ。
知ってるのに言ったんだ。
なんで？
「これは難しい。」
俺の推理も早々に砕けた。樹じゃないんだからここから解決までもっていけるはずがない。
「簡単じゃないっすよね。頭良さそうだったもんな、子どもっぽいところもあったけど。」
「どんな？」
「病院怖いから嫌いなんですよ。」
京本本人が見たら殴られそうなほど笑いがこらえきれていない。次に京本に会ったときにも目黒はこの事をいじりそうだ。
「信じてないでしょ？今度京本さんに聞いてみてください。顔赤くして怒りそうですけど。」
「聞いてみよ。、、、あ。」
ユウさんの弁当に視線を落としたタイミングで、脳内を光が直通する。
閃いちゃった！！
確かにそれなら簡単にわかる。
「どうしたんすか？」
「いや、なんでもない。」
思い付いた案を心の中に留めてお弁当を食べる。目黒を連れていったら何もわからない可能性の方が高いし。
ごめん、教えられる内容だったらちゃんと教えるから！
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作者名：久遠さん
| 作成日時：2021年9月19日 0時
