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「ユウを守りたかったんですよね。あと1週間買い手が見つからなかったら、ユウは戸籍を売られて身体を売買される。またはユウの見た目とステータスなら死ぬよりもっと酷いところに、、、」
「そうだな。それがバレた。それだけじゃない。F18の規則違反を隠蔽して廃棄を阻止しているのもバレた。やりすぎなくらい指導をしたのにお前らは好き勝手だな。」
体に傷がつくことはやりたくない、社会に戻って苦しくなるようなことはやりたくない、時には勝手にどっかに行っては差し出されてきた。その反発の理由を理解はしていた。だから決して残る傷はつけない京本はユウには特に注意をして指導をしてきた。
ランクは下がっていき罰金で負債も増え、次に規則違反があれば返済の意思も見込みもないと切り捨てられる。今はただの延命措置にすぎない。
だから京本は初めてあの屋上で、ユウに危害を加えて脅迫をした。そうすれば怯えて姿勢を改めると思ったのだ。京本が報告を改竄してなんとかしていたのにも関わらず寄り道をして帰ったり連絡もなく泊まったり、勝手に侵入したりやりたい放題だ。
それらの隠蔽全てを昨日指導されたというわけだ。
その事を伝えれば森本は汗をかきながらハクハクと背中を丸めて謝った。そんなことを京本は求めているわけではない。
「ならお前はクビだ。切り捨てたい人間だよ、お前は。運転手のくせにこそこそ嗅ぎ回って最悪だ。とっととやめろ。」
「それは出来ません。」
「もう前言撤回か？約束も守れないのか？」
お得意の挑発スタイルで森本を煽ると、真っ直ぐな男は左こぶしでハンドルを叩いて「そうです！」と車体サイズに見合わない大声を出した。傷に響く。
「それなら約束を守れない男でも良いです！ご迷惑をおかけしたことは謝ります。でも俺だってただの運転手でも、いや、だからこそ見てきたものがあるんです！京本さんだけじゃないんですよ。ユウを守らなきゃいけないのは！」
感情のこもった森本の叫びに京本は、同志を見つけたような気がした。もう負けたくはない。伊藤は自分がダウンしている間に事を進めるだろう。時間がない。
「あの事、森本も引きずってるのか？」
「当たり前ですよ。」
「そうか、行き先を変更しよう。ナナセに会いに行くぞ。」
「はい、、。」
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作者名：久遠さん
| 作成日時：2021年9月19日 0時
