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「なんなんすか？あなた。」
「Kurasawahouseholdの森本と申します。」
緊迫感のある目黒の声と飄々とした森本の声で目を覚ます。それに気づいた森本が京本を守っていた目黒を押し退けて顔を覗きこんだ。
「仕掛けた発信器が役に立ってよかったな。」
「っ、気づいてたんですか？」
「気づいていた。来ると思って待っていた。」
森本が動揺して鼻がピクピクと膨らむ。こんなにわかりやすい男に無茶をさせたと京本は内心申し訳なく思った。
「話がしたいんだろ？」
「はい。」
「連れて帰ってくれ。状況は車内で聞く。」
「承知しました。」
京本を起こして背中に乗せる。目黒は起きている出来事に呆然と立っていた。
「世話になった。ありがとう。」
「大丈夫、なんですか？本当に。」
「大丈夫。お礼に1つだけ。新内ナナセを調べた方がいい。簡単にわかる。」
そう告げて京本は森本に運ばれていった。確信するように森本が下唇を噛む。
シエンタの後部座席に横たえられた京本は、高低差で大きく見える森本の席に声をかけた。
「どうなってる。
「伊藤がジェシーさんに会いに来ました。永久雇用契約を結びに。
「どうせ失敗した。躍起になるだろうな。それでF18はどうして、」
「その前に！
、、切り捨てたい人間ですか、俺は。」
芯のある森本の声色に京本が天井を見る。自分の迷いも全て森本に見透かされてしまっていた。
守るべきものを守りたい森本をこの世界に引き入れた。守り続けることが、森本に孤独を選ばせていると気づいていた。だから京本は悩んだのだ。
もう足を洗わせて葉月という妹の成長を見させてやりたいと。自分が必死こいて守った命を見せてやりたいと。
「今日全てわかったんです。何が起きていたのか。俺とユウはずっとジェシーさんになぜあのサイトが表示されたのか引っ掛かってた。
あの日、わずかな時間だけ京本さんは表のサイトに細工をしてユウが最も魅力的に見えるようにしていた。何人かはそれに引っ掛かって、その中で相性が良いと思ったジェシーさんにユウを渡した。その他にはユウと似た表の人を渡した。ちょっと見た相手なんてわからないし、弁がたつ京本さんなら言いくるめられる。」
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作者名：久遠さん
| 作成日時：2021年9月19日 0時
