リライト 2 (ページ12)

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ジェシー

「AHAHA！！」

「ちょっ、危ないよ！」

「だって！くすぐったいし！」

「買ってこなきゃ良かったのに。」

羽で右頬を撫でられる。

最近時々動画サイトで見かける中国式の耳掻きが気になって、その道具を買ってきてしまった。ユウさんが使い方を調べてやってみてくれているんだけど、まぁくすぐったい。

音叉でグワァーンってなったのは面白かったんだけど。

「もう少し大きい耳かきの方がいいのかなぁ。
見てよ、これ。」

3本の耳かきを目の前に出される。赤ちゃん用？ってくらい細いのまである。

「どう使ったらいいかわかんないよ。」

「じゃあこの1番大きいの。」

「はいよ。あっち向いて。」

テレビの方を指されて体の向きを変える。耳の縁に耳かきが当てられた。大きい方がくすぐったくないな。さっきより遠慮がないのもあるけど。

「どう？気持ちいい？」

「うん。いつもの耳かきって感じ。」

「じゃあダメじゃん。中国式なんてお店に行くしかないね。」

「嫌だよ、耳見せるの恥ずかしいもん。」

「俺に丸見えなんだけど。」

「ユウさんはいいの。」

ふーん、と適当に相づちをうったユウさんが「奥いれるよ？」と耳かきを耳の穴に触れさせる。

「あ、」

「何？」

「外より気持ちいい。」

「なんだ、痛かったのかと思った。やめてよ。」

「ごめん。そうだ、目黒が今日来なかった。」

伊藤が来てなんとなく気持ちが良くなかったから目黒と話そうと思っていたのに、みんなのママ佐藤さんに「風邪だって。」と出勤早々言われた。うつすと嫌だから見舞いも結構と言われて1日割りとローテンションだった。

それでちょっとは癒されたいと思って買ってきちゃったんだと思う。
　
「大丈夫かな、目黒さん。最近寒いもんね。」

「明日には復活してくれたらいいけど。」
　
「本当だね。目黒さんかっこいいし、女の人はショックかも。」

「ふぁ！？」

「なーにぃ！？痛かった！？」

水をかけられた猫ほどのスピードでユウさんが耳かきを引っ込める。

「いや、べ、別に、、」

かっこいいって、ユウさんに言われたことない。

「なら良いけど。」

バクバクしている心臓を収めようとこっそり深呼吸をしてユウさんに耳を差し出す。