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「ねぇユンギヒョン」
落ち着いたトーンでそう俺を呼ぶテヒョンになぜかどきりとする。
「なんだ」
「Aヌナと何かあった？」
「何かって？」
「なんか…ヒョンの話をするときのギャップが激しかったから」
テヒョンの言葉に何も答えないでいると、そのまま話を続けた。
「ヌナが1人でいろんなこと話すの珍しいんだけど、でも今日はいっぱいいろんなこと話してて。仕事のこととかは楽しそうに話してたんだけど、ヒョンの話の時は楽しそうだったりなんだか悲しそうな顔したりするから」
「…お前に話したんだ」
ぽつりと漏らした言葉に、テヒョンが反応して俺の顔を見てくる。
「なに、やっぱり何かあったの？」
「何もねぇよ。喧嘩とかそういうんじゃねぇの。でもたまにあんだよ。Aのそういうの」
「どういうこと？」
話そうかどうか迷う。テヒョンのAへの気持ちを思えば別に話しても問題ないだろう。しかしAはきっと知られたくないだろう。
でもテヒョンを飲みに誘って、好きなように食って飲んで心の思いを口にしたってことはそれだけテヒョンのことを信頼しているってこと。だったら言ってもいいだろうか。
「ヒョン？」
「あいつも闇を抱えてるってことだよ」
「闇…？」
「お前はAの闇を知っても変わらずにいられるか？」
ちょうど赤信号で止まったのをいいことにテヒョンの目をジッと見てそう言えば、テヒョンは戸惑ったように瞳を揺らした。
「お前のAに対する想いはそんなもんか？」
「そんなことない！そんなちっぽけな思いじゃない。闇とかは分からないしそんなもの抱えてるようには思えないけど、とにかく俺はヌナには幸せになって欲しいし、俺が幸せにしたい」
声を上げて勢いよく言うテヒョンに笑みが漏れる。A良かったな、そんなに想われて。
信号が青に変わり、アクセルを踏み込む。なんてテヒョンに伝えればいいのか分からないままだが、考えながら口を開く。
「Aだけの闇じゃなくて、俺も関わってるから達が悪いんだけど。まあ簡単に言えば双子って厄介だなってこと」
「…ヌナも同じこと言ってた。双子だけどやっぱり別の人間なんだなって思うとそれが辛くなる時があるって。双子って厄介だって」
「そんなことお前に言ったのか」
テヒョンの言葉に驚く。酔ってるとは言え、そこまでAが人に胸の内を打ち明けたなんて。
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
