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「ユンギヒョン、変なこと聞いていい？」
「変なことって分かってるなら聞くなって言いたいところだけど」
「1つだけ！教えて。ね？」
珍しく宿舎にいたヒョンを捕まえて、愛嬌を振りまけばうざそうな顔をするユンギヒョン。ちょっと酷いよね。
「ヒョンはさ、Aヌナのことどう思ってるの？」
「A？」
「うん。前から思ってたんだけど、ただの兄妹の割にはお互い距離が近いよなあって思って」
関わりたくないって思うけど、でもやっぱり気になっちゃうから結局聞いちゃった。俺も結構お節介だなって思う。大好きなヌナとヒョン、可愛い弟のためにもね。
「とうとうお前まで言うか」
「誰か言うの？」
「ジニヒョン」
ヒョンが短く言えば「ああ」って思う。ジニヒョンは何かとユンギヒョンとAヌナが一緒にいるのを茶化すから。構いたくて仕方ないんだろなって思ってたけど、そうじゃなかったのかな。
「俺も…異常だってことは分かってる。けど、もう20年近くああやって過ごしてきたから何が普通なのかは分からなくなってる。感覚が麻痺してるのかもな」
「ヒョン…」
ユンギヒョンの言葉に何も言えないでいると、ヒョンは苦笑しながら俺を見てくる。
「気持ち悪いか？」
「そんなこと！ごめんなさい…そんなつもりで言ったわけじゃないんだ。ただお互いがどう思ってるのかなって前から思ってたから…」
「一番大事な人…かな」
「それは愛する人が現れても？」
「どうだろうな、俺にはそんな人がいたことがないから分からない」
「Aヌナは…彼氏がいたことあるでしょ？その時はヒョンと彼氏、どっちが大事だったの？」
「さあな。お前から見て俺とAの距離はどうだったんだ？変わったか？」
そう言われて考えてみる。そもそもヌナに彼氏がいたなんて、ユンギヒョンが怒ってるのを聞いて知ったわけだし。ヒョンとヌナの電話を聞いてヒョンの彼女だと思ったこともあったぐらいだ。
「何も変わってないね。ヌナに彼氏がいるって思いもしなかったし」
「そうか…もしかしたら俺もAもそういう人に巡り合うのは難しいかもな」
自分で言って、可笑しそうに笑うヒョンがとても悲しそうに見えた。
「あいつにはそういう人ができてくれるといいんだけどな。もうあんな思いはして欲しくない」
そう言うヒョンの顔はちゃんと兄のようで、親のようだった。
ねぇヒョン、もし本当にそうなってAヌナが離れていっても大丈夫なの？
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作者名：藍
| 作成日時：2018年11月15日 20時
