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そのまま腕からも離れようとしたら、グクが口を尖らさせてくる。
「何で離れようとするの。Aから抱き着いてきたんだから、もう離れることはできませーん」
「わ、わたしからくっ付いたんだからわたしから離れるよ」
「だめ」
離れたわたしの腕を、グクはまた掴んで自分の腕に組ませる。腕を組んだ状態になったのを見て満足そうに笑ったグクはまた歩き始めた。
「もう今日はこのままね」
「う、うん…」
嬉しそうににこにこしている姿が可愛くて。ちょっと抱き着いただけなのに、そんな喜んでくれるとは思わなくて。これからはもうちょっとわたしから触れてみようかなって思うけれど。でもやっぱり恥ずかしさもあるなって思って。考えただけで顔が赤くなってきた気がする。
「今日はもう会えないけど…デリバリー頼んでいい？」
「わたしは大丈夫だけど…でも練習室に缶詰めになるんでしょ？」
「Aのカフェ頼むぐらいは大丈夫。休憩時間はあるし」
そう言って「今日はドーナツ食べたい」なんてリクエストしてくるグクに少し笑う。
「じゃあお店に戻ったら準備して事務所に行くね」
「うん、楽しみにしてる」
「って、お昼食べた後にすぐにカフェでいいの？」
そう言えば今からお昼ご飯を食べに行くんだったって思って聞けば、グクは何か問題でも？っていう顔してわたしを見てくる。
「僕はいつでも食べれるからいいの」
「相変わらず素敵な胃袋だね」
「Aの持ってきてくれるものは特に別腹だからね」
そうやって柔らかく笑うグクにわたしも笑顔になる。別にドーナツとか焼き菓子とかはわたしが作ってるわけではない。サンドウィッチとかは作ることもあるけど。でもそうやってわたしだからって喜んでくれるのはやっぱり嬉しい。
わたしが選んだものを、わたしが淹れたコーヒーを、わたしが運んだものをそうやって特別に思ってくれて。大切にしてくれる。そういう優しい気持ちで包み込んでくれる。だからもっと美味しいものを淹れてあげたいなとか、忙しいならわたしからやってあげたいなって感じるんだうろなって思った。
そんな幸せな気分に浸りながら、グクとよく行くお店に向かう。もう看板は見えてきてあと少しというところ。視線の先で強引に割り込みしている車がいて怖いなって思っていたら。その後続車が避けるために、同じように突然の車線変更をして。それをまた避けるようにバイクがスピードを上げてこちらに向かってくるのが見えた。
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セナ - まさかの記憶喪失だったという展開にとても驚かされました...!!!次回作も楽しみにしております(*^^*) (2021年8月11日 12時) (
レス) id: 1946a1a89c (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ゆうりさん» ありがとうございます！こちらこそ嬉しいお言葉を頂けて感謝でいっぱいです。ぜひぜひ、次回作もお付き合い頂けたらと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます！毎回みき様の素敵なお言葉に癒されておりました。タイトル通りひたすら優しさを漂わせていたお話だったのでそう言っていただけて嬉しいです。もし機会があれば書いてみたいと思います。 (2019年2月27日 19時) (レス) id: 66eaabbd56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - 完結お疲れ様でした！！！とても好みの話でいつも楽しみに待っていました！次回作も時間がありましたら待っていますのでどうぞよろしくお願いしますm(__)m最後まで楽しませてくださってありがとうございました！ (2019年2月25日 14時) (レス) id: 5e5d1321e9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結お疲れ様でした。悪い人がいないとてもしあわせな話でした。この2人のしあわせな姿をずっと読み続けたいし、事故に遭う前の2人のしあわせな話も読んでみたいです。いつも更新楽しみにしていました。ありがとうございました。 (2019年2月25日 12時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍
| 作成日時：2019年2月20日 20時
