とある傍観者の心中 ページ33
ウエディングベルが鳴り響く教会を背に、田舎とも呼べる建物の少ない景色を見渡す。
今はみんなで写真を撮ったりいろんな話をしたり、身内だけの結婚式だからこそできる和気あいあいとした時間を過ごしている。
僕はそんなキラキラとした雰囲気にどうしても耐えられずひとりここにいる訳だけど。
振り向けば一枚のガラスの向こう側にみえるメンバーたち。その輪の中で祝福されているジョングクとナマエちゃん。
今思えば、可愛がっている弟から何かを奪いたいと考えたのはあれが初めてだった。
ジョングクがナマエちゃんを飲み会に連れてきたあの日。たしかジョングクも出会った頃に一目惚れしたといっていた。…僕も、一目惚れだった。
ジョングクの彼女だとかメンバーの彼女だとか、そんなことはもうどうでもよくなって。
ジョングクが事務所へ呼ばれたのをいいことに僕が送ってあげるよと言ったのは、ジョングクが僕を信用してくれていることと見るからに優しそうでジョングク以外の男を知らなさそうな純粋なナマエちゃんを利用しない手はないと思ったからだ。
―――や、だめ…グクがいるからっ、
ふるふると首を振りながらも僕を受け入れてくれたナマエちゃん。あのまま僕のものになってくれると思ったんだけどなぁ。
JK「ジミニヒョン!」
JM「…ジョングガ」
JK「どうしたんですか?こんなところで」
太陽に反射してきらきらと光るタキシード。
……あぁ、僕にはきっと似合わない。彼女の隣に立つことすらもう許されないのだから。…ちがうか、最初からナマエちゃんの隣になんか一度も立てていなかった。
でも、それでも。
JM「ごめんね、ジョングガ」
JK「…?なんの話?」
JM「…ううん、なんにもない。おめでとう!ほらほら、主役がこんなところにいたらだめでしょー?戻るよ!」
僕はまだ、ナマエちゃんを諦めきれそうにない。
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noborders(プロフ) - 一気読みしちゃいましたー!更新待ってますので頑張ってくださいね! (2017年12月16日 7時) (レス) id: 9aa6e889b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リン | 作成日時:2017年11月24日 2時