【BTS】カタストロフィー【JK】 (ページ22)

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終わりの始まりページ22

まだ練習生になりたてだった頃の帰り道、上京したての僕にはまだ見慣れない風景を眺めながら歩いていると、道端に子猫がいるのを見つけた。

親に捨てられちゃったのかな、かわいそうに。ずっと鳴いてるからお腹すいてるのかな。

そう思ってコンビニまで走って適当にキャットフードを買って戻ってみるとそこには同じ年頃の女の子がいた。

「…あの、」
「…？あ、飼い主さん、ですか？」
「違います、けど…」

カサリ、戸惑う僕の心を表すようにコンビニの袋が音を立てる。

「それ…」
「あぁ、その子猫にあげようと思って、」

暗がりでよく見えなかったけど、ふと通りかかった車のヘッドライトに照らされた彼女はとてもきれいな顔をしていて。

…一目惚れ、だった。

「だめです、まだ子猫だから…」
「え、」

袋から餌を取り出してよく見てみると、成猫用と書いてあった。相当急いでいたらしい、ここまで頭が回らなかった。

「わたしが連れて帰ります、この子」
「本当ですか？よかった…僕は連れて帰れないから」
「…その餌、もらってもいいですか？」
「でも、まだこの子には早いん…ですよね」
「しばらくはあげれないけど…この子が大きくなったときに、あげたいんです」

‐あなたの気持ちをこの子にもちゃんと伝えてあげたいから

僕じゃなくて子猫を抱き上げながらそう呟いた彼女。名前も知らないけど、その横顔にどきどきと高鳴る胸。

「…じゃあっ、連絡先！…連絡先、教えてください…」
「わたしの、ですか？」

初めて僕を見た彼女。きょとんとした顔は綺麗なのにどこか幼くて。今思えば自分から異性に連絡先を聞いたのも、異性に自らの連絡先を教えたのも、彼女が初めてだった。

「僕もこの子の成長を見守りたい、から」
「…ふふ、じゃあ、毎日写真送るね」

本当は子猫のことよりもきみのことが知りたかったんだけど。本音は建前に塗りつぶされた。

これがこの物語の始まりである。

不意にくだけた敬語もその柔らかい微笑みも子猫を大事そうに抱える腕もしっかりと僕を捕まえてくれる優しい瞳も。

君の全て、全部全部、僕だけが知っていればいい。

君を守るのは、僕だけでいい。

この気持ちは、今でもかわっていない。