【完】ニセモノの恋をはじめましょう JK

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『んー、おいしー！』


結局ランチの定番中の定番のパスタ屋へ。
生麺で美味しいお店だったから良かったけれど。


『ジョングク君のなんだっけ』

「ボロネーゼ」

『おいし？』

「ボロネーゼはハズレがないと思ってる。Aちゃんのは？」

『えー？これ？ナスとトマトのチーズクリームスパゲティ』

「名前なが(笑)」

『いや私ね？美味しさと名前の長さは比例すると勝手に思い込んでるから』

「俺のやつまずいみたいじゃん」

『まずいとは言ってないけど私のには劣る』

「じゃあ１回交換しよーよ」


なんか、デートみたい。
ってかデートなのか。
急に、胸がすこしこそばゆくなった。



『いいよ、これで私のが美味しかったら何くれる？(笑)』

「10円ガムでよろしく」

『やっすい賭けだなー』

「Aちゃん、はい」


ジョングク君は私にフォークに絡めたパスタを差し出してくるから、驚いた。


『……これ、あーんってこと？』

「恥ずかしいから聞かないで」

『う、うん』


素直に口を近づけて、パスタを頬張る。


「うまい？」

『……』


美味しさに親指を立てたらジョングク君は笑ってくれた。

……どこのバカップルだよ。



『……ジョングク君も食べて』


お皿を差し出そうとすると、

「ん？俺にはあーんってしてくれないの？」って。


こうやって、何人の女の子を落としてきたんだろう。









まあ、いいや。そんなことは。

私はべつにジョングク君のことが好きではないし、ジョングク君も私のことが好きではない。


いま、お互いにきっと同じことを考えているんだろう。





利用してしまおう。って。





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