あの夏の想い出に、さようなら

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『……』




確信したような言い方に言葉が詰まる。

分かってるなら、聞かないでよ。
そんな汚れた言葉が出そうになって、必死に他の言葉を探す。




『…テヒョンくんには、関係無いよ』




結局出てきた言葉は、たいして変わらない冷たいセリフだった。
核心をつかれた言葉と発言の罪悪感から自分の冷えはじめた足元へ顔を下ろす。

だけど、




「そっか」




テヒョンくんはそれほど気にしても無い様子でそう言った。




「…やっぱりまだ、ジミンのことが好きだから、帰ってきたんだね」


『…』




今度は正直になるようにコクリと頷いた。




「やっぱり、人はそれほど変わらないね」




私を見たテヒョンくんは、安心したようなあたたかな瞳で今日1番の笑顔を見せた。




「お肉焼けたよーっ」




ジミンが私たちに向かって大きな声を上げた。




「今行くー！さっ、お肉食べに行こ！」


『…うんっ』




たった数分の会話。

なのに、数年間の会わなかった期間が不思議な形で埋められたような気がした。




くいっと引かれた手に、ずっとテヒョンくんと手を繋いでいたことを思い出す。




『テヒョンくん』


「テヒョンね」


『あぁ…テヒョン、彼女居るのにこれ…いいの？』




"これ"と言いながら繋がれた手の手首をゆらゆらと揺らすと、「あぁ、」と声を出して小さく笑う。




「これは俺の為じゃなくて、アイツの為だから」


『…………』


「ほら、早く行かないとお肉焦げちゃう」




…アイツが誰を指すかなんて、分かりきったことではある。

だけど、アイツの為だって言って。
それも彼の前で手を繋ぐなんて。


……ジミン、私、変な期待をしちゃうよ、…









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