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至近距離、グクと目が合う。
私が飲んでいたお酒の味はぶどう。
でも今口の中はレモン。
レモンはグクが飲んでいたお酒の味。
グクの瞳が下に逸れた。
もう一度、口に伝うレモン味。
角度を変えて、もう一回。
もう一回。
もう、一回。
「……ちょ、っと…！」
私が床に倒れかけそうになったところで、やっと、停止していた思考が動き出した。
変わらないグクの表情、
でも、少し火照ってる、
自分たちが今なにをしていたのか、やっと理解して体を支えていた腕の力が抜けていく。
倒れかけそうになったところを支えてくれていた腕の力はどこかへ消えて、私はバタンと倒れ込んだ。
そのまま手で顔を覆う。
直視できない。
無理。
だって、意味わかんない。
どきどきが止まらないし、
意味わからないし。
無理。
いろいろ無理。
「……なんで？」
やっとの思いで発した声はとても小さくて、
JK『…なんで？』
でも、グクには聞こえていたみたい。
「疑問形に疑問形で返さないでよ」
JK『…なんでって、何が』
「…なんで、こんなこと、するの」
いまだに私は手で顔を覆ったまま。
JK『…わがまま』
「…え？」
質問の答えになっていない返しに、
思わず覆っていた手を外した。
JK『手放したくない』
私がもう顔を覆わないようにするためなのか、
どういう意味なのか、
全然わからないんだけど、
グクが私の手首を掴んでる。
グクの言葉ひとつひとつにこれでもかってくらいどきどきしてる。
JK『わがままで勝手で自己中ってことはわかってるけど、手放したくない』
床に倒れ込んで動けなくなっていた私の隣に、
同じようにグクも倒れ込んで来た。
JK『…最後っていうの取り消してもいい？』
グクの腕が私の腰にまわる。
JK『…ねぇ、A』
その甘い声に私が弱いことを知っている。
わがままで勝手で自己中で、
先輩のことが好きで、
それなのに私のこと手放したくないって、
グクだけを見てる私が嫌だっていうから、
この関係を断ち切ろうと思って
テヒョンと付き合ったのに、
結局私はこの人に溺れて、
この人の声に、
笑顔に、
甘い言葉に、
「…………わかった、」
また自ら傷つく道を選んでしまう。
せっかく抜け出せると思った一筋の光が消えていく。目の前にあるのは、私のことを見て微笑むグクだけ。
その微笑みが真っ黒に変わるその日まで、
私はこの関係を自ら断ち切ることはできないんだろうな。
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anchun(プロフ) - 本当に面白過ぎます！続きが気になって仕方ないです😭胸がドキドキが止まらないです (2022年3月3日 19時) (
レス) id: 487e998396 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - ぬお、、なぜ更新がああああすっごいいいい (2021年5月8日 20時) (レス) id: 6a137e9fb7 (このIDを非表示/違反報告)
_tunputo_(プロフ) - めちゃくちゃ気になるとこで泊まってるぅぅぅうって声出して言ってしまいました。笑 (2021年2月27日 10時) (レス) id: 993cb3d94d (このIDを非表示/違反報告)
ちりちり(プロフ) - この作品が大好きです。 (2020年12月16日 18時) (レス) id: 9e4bd772c5 (このIDを非表示/違反報告)
そわいぬ - この作品1番更新楽しみにしてます。。うう。。（ ; ; ） (2020年10月24日 9時) (レス) id: 6e2414b0f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いよ
| 作成日時：2018年3月15日 1時
